1994 Fiscal Year Annual Research Report
ホットカソードを利用した準安定分子の生成とマイクロ波分光法による検出
Project/Area Number |
06228214
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
谷本 光敏 静岡大学, 理学部, 教授 (40207197)
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Keywords | ホットカソード / 準安定分子 / マイクロ波分光 / 不安定分子 / イオン / ラジカル |
Research Abstract |
1.ホットカソードセルの製作と不安定分子種の検出 現有の分光器はクライストロン出力を周波数逓倍器により3倍または4倍にして、360GHzまでのサブミリ波を発生させることができる。回転スペクトル強度は周波数の2-3乗に比例するので、高周波数領域で吸収線を探すことが極めて有効である。 マイクロ波放電により貴ガスの準安定原子を生成させ、それによる衝突・励起を利用できるようにマイクロ波放電装置とBroida型空洞共振器を製作した。また、排気速度を大きくするため、新しい排気系を製作した。 2.ミリ波分光法によるラジカルおよびイオンの回転スペクトルの観測 SiBr_4のグロー放電を行なったとき、二原子分子による強い吸収線を二組見出した。これらが等強度であることから、臭素の同位体によるものと考え、回転定数から臭素の結合相手の原子は珪素であると結論した。スペクトルはビ-マン効果を示さなかったので、反磁性の臭化珪素陽イオンSiBr^+によるものであると帰属した。最小二乗法により回転定数、遠心力ひずみ定数および臭素核の核四重極相互作用定数を決定した。核四重極結合定数からSi-Br結合が高いイオン性をもつことを示した。 AlCl_3蒸気とヘリウムの混合物をグロー放電した際、常磁性を示す6本一組の吸収線を観測した。このラジカルは塩素を含むが、アルミニウムは含まず、6本がほとんど等強度であることから電子状態は^6Σであると結論した。塩素同位体種のスペクトルを観測し、回転定数からこの分子をCrClラジカルに帰属した。クロムを含む分子の回転スペクトルが観測されたのは初めてである。 放電プラズマにより電極板からたたき出された金属原子を含む化合物の回転スペクトルを観測することが可能であることが明らかになったので、今後新しい研究分野が開けるものと期待される。
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[Publications] T.Okabayashi: "Microwave spectroscopy of fluorocyanobutadiyne(F-C≡C-C≡C-C≡N)" Chem.Phys.Letters. 230. 530-535 (1994)
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[Publications] T.Okabayashi: "Microwave spectroscopy of 1-fluoropropyne(CH_3CCF)" J.Mol.Spectrosc.168. 579-583 (1994)
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[Publications] M.Ishiguro: "Microwave spectroscopic study on silicon monogromide cation" J.Mol.Struct.(印刷中). (1995)