1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06228232
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
松本 吉秦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (70181790)
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Keywords | 表面吸着種 / ラジカル反応 / 白金 / メタン / 亜酸化窒素 / 昇温脱離 / X線光電子分光 / 光解離 |
Research Abstract |
本年度は主に金属表面上での吸着種の光解離によって生成される高いエネルギーを有する活性酸素原子と他の吸着種との反応について実験を行った。すでに白金表面上でN_2Oが紫外光によって解離しエネルギー的に高い酸素原子を生成することがわかっている。そこで、具体的な系としては白金(111)面上でのN_2Oとメタンの共吸着系を選び、酸素原子とメタンとの間の光誘起反応を昇温脱離、X線光電子分光によって研究を行った。この結果、193,248nmの光照射によって光誘起反応が起きていることが確認された。反応生成物としてはCH_3、CH_3Oなどが考えられるが、これらが更に昇温脱離実験の過程で酸化され最終的にはCO_2となり脱離すると推測される。この点を更に明らかにするためには吸着種の振動分光などが必要と考えられる。 次に、193nm照射の実験からメタンがN_2Oとの共吸着種無しでも解離反応を引起こすことを見出した。これは、気相中のメタンの光解離が160nmよりも短い真空紫外光を必要とするのに比べて極めて特異である。メタンと白金表面との相互作用は比較的弱いため、193nmの光によるメタンの電子状態の直接励起は考えにくく、むしろ、基盤の電子励起による間接的な励起によるものではないかと思われる。しかしこの励起メカニズムが正しいとすると、本研究で得られた結果は比較的低エネルギー領域にあるメタンの短寿命負イオン状態が存在することを強く示唆するものと考えられる。また更に、水素原子をあらかじめ吸着させておいた表面にメタンを吸着させ193nmの光を照射したところ収率としては少ないがメタンの光解離によって生成したメチルラジカルと水素原子との間の再結合反応が起きることも見出した。
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Research Products
(1 results)