1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06235203
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂田 誠 名古屋大学, 工学部, 助教授 (40135306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 昌樹 名古屋大学, 工学部, 助手 (60197100)
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Keywords | マキシマム・エントロピー法 / 電子密度 / 結晶構造 / 精密構造解析 |
Research Abstract |
放射光より蛋白質の結晶構造をミリ秒オーダーで解析する場合、時分割ラウエ法により行うことが最も現実的である。この様な解析において、非常に大きな問題はミリ秒オーダーでデータを収集するために、ラウエパターンとラウエパターンの間に、逆空間上で測定されない領域が出来てしまうことである。この様にデータが欠損した状態で通常のフーリエ合成を行うと、得られる電子密度分布は欠損したデータの影響をそのまま受けて、大変不十分な電子密度分布しか得られない。この問題を解決するために、欠損したデータを用いてマキシマム・エントロピー法により電子密度を求める方法を確立した。マキシマム・エントロピー法は情報理論から発達した解析法で、これまで精密結晶構造解析に適用され、電子レベルの構造を解明する上で、絶大な威力を発揮してきた。本研究は、マキシマム・エントロピー法によりデータ欠損時における原子レベルの構造解析を可能にすることを目的としている。本研究の結果、データ欠損率が50%の時には、全く問題なしに、原子レベルの構造が得られることがわかった。さらに驚くべきことに、70%の欠損時においても、結晶の基本構造を確認出来ることが判明した。一方、これまで用いられてきたフーリエ合成法では、欠損率50%の時には、原子位置以外の多くの場所にフーリエ級数打ち切り効果による偽のピークが生じ、結晶構造の確認が著しく困難になった。また、欠損率70%の時には、結晶構造を全く再現しないことがわかった。それ故、本方法はミリ秒オーダーの蛋白質のダイオミックスを解明するためには、必須の解析法であると結論した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Takata: "A Direct Investigation of Thermol Vibrations of Bory llium in Real Space Through the Maximum-Entropy Method Applied to Single-Orystal Nertron Diffraction Data" Acta Cryst. 50. 330-337 (1994)
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[Publications] J.Yamada: "Relationship Between the Structural Transitions and the Low Thmperature Electronic State of (La,Nd)_2-xMxCuO_4(M=Ba,Srix〜1/8)" J.Phys.Soc.Jpn. 63. 2314-2323 (1994)
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[Publications] 坂田 誠: "マキシマム・エントロピー法による結晶構造解析の発展" 日本結晶学会誌. 36. 192-198 (1994)
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[Publications] S.Kumazawa: "On the Single Pixel Approximation in the Maximum Entropy Analysis." Acta Cryst.(in press). (1994)
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[Publications] M.Sakata: "Nuclear and Electron Densities of Anatase(TiO_2)" Physica B,. (in press). (1994)
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[Publications] M.Takata: "Jmaging of Spin Density a Crystal Using a Polarized Neutron Data by the Maximum Entropy Method." Physica B,. (in press). (1994)