1994 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解ラウエ法と計算機実験に基く蛋白質の動的構造解析
Project/Area Number |
06235206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平田 文男 京都大学, 理学部, 助教授 (90218785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷 信広 京都大学, 理学部, 教授 (50011549)
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Keywords | 蛋白質 / 水和自由エネルギー / 疎水水和 / Scaled Particle Theory / 静電相互作用 / Poisson-Boltzmann方程式 / アルコール / Avian Pancreatic Polypeptide |
Research Abstract |
(1)研究目的 蛋白質の構造ゆらぎは原子間の伸縮振動などに由来するフェムト秒から巻き込みや変性に由来する数秒以上のものまでを含む極めて幅ひろいモードを含む。これらのゆらぎのうちミリ秒オーダーまでの比較的遅いゆらぎはすでに時間分解ラウエ法による解析の直接の標的となっており、逆に、サブナノ秒程度までの速いゆらぎは分子動力学を含む分子シミュレーションによる理論的研究の対象とされている。 本研究では平成5年度の研究でまず水溶液中におけるの蛋白質の平衡構造付近の分子動力シミュレーションを行ないその動的構造に対する溶媒の影響を解析した。その結果、蛋白質の大きな構造ゆらぎを解析するためにはその自由エネルギー曲面を理論的に求めることが不可欠であるという結論に達した。そこで平成6年度の目標として液体の統計力学に基づく水和自由エネルギー計算法の確立と、蛋白質を含むいくつかの例題への応用を掲げた。 (2)主な成果 蛋白質の水和自由エネルギーを計算する新しい理論的方法を開発し、その数値解析のためのプログラムを完成した。この方法は二つの要素から成り立っている。ひとつは疎水水和の自由エネルギーを計算するための統計力学の方法であるScaled Particle Theoryの一般化で、従来、球状の分子にしか適用できなかった理論を蛋白分子を含む非球状の分子に拡張した。もうひとつは静電相互作用を評価する方法で、Poisson-Boltzmann方程式の数値解を採用した。これらの二つの方法を結合し、さらに溶質-溶媒間のvan der Waals相互作用を考慮することにより、蛋白質の水和自由エネルギーを決定することができる。そのテストケースとしてアルコールの水和自由エネルギーをアルキル基の長さを変えて計算し実験データと比較した結果、大変良好な一致が得られた。さらに、アミノ酸と蛋白質の水和自由エネルギーのうち疎水水和の寄与を計算した。Avian Pancreatic Polypeptide(36 residues)の疎水水和エネルギーは239.8 kcal/molまたLennard-Jones相互作用による引力項は-142.5 kcal/molの結果を得た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] G.Basu,A.Kitao,F.Hirata N.Go: "A collective Motion Description of the 3_<10>-α-Helix Transition:Implications for a Natural Reaction Coodinate" Journal of American Chemical Society. 116. 6307-6315 (1994)
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[Publications] M.Irisa,T.Takahashi,F.Hirata: "Solvation Free Energies of Non-Polar and Polar Solutes Reproduced by the Combination of the Extended Scaled Particle Tyeory and the Poisson-Baltzmann Equation" Journal of Molecular Liquids. (1995)
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[Publications] S.Ten-no,F.Hirata,S.Kato: "Reference interaction site model self-consistent field Study for solvation Effect on carbonyl compounds in aqueous solutoin" Journal of Chemical Physics. 100. 7443-7453 (1994)
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[Publications] M.Kawata,S.Tenno S.Kato,F.Hirata: "Irregular order in basicities of Methylamines in Aqueous solutions:A RISM-SCF study" Journal of American Chemical Society. (1995)