1994 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子のSTM観測・凝集構造シミュレーションおよびトンネル物性に関する研究
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06236212
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松重 和美 京都大学, 工学部, 教授 (80091362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 勝 京都大学, 工学部, 助手 (30154305)
堀内 俊寿 京都大学, 工学部, 助手 (10238785)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡 / 有機分子 / 凝集構造 / エピタクシャル / 電気的相互作用 / シュミレーション |
Research Abstract |
本年度は、種々の有機分子(超薄膜)の凝集構造の直接観測を行う事により、有機分子における核・結晶構造形成過程、および極性有機分子の凝集構造形成に対する電気的相互作用の寄与の解明を試みることを第一の目的として研究を遂行した。また、真空低温型STM装置の試作にも取り組んだ。得られた主な成果は以下の通りである。 まず、HOPG等の基板上のn-パラフィン系試料蒸着膜のSTM観測を行い、蒸着条件、基板の種類の違いによる変化などに関するデータを集積した。その結果、n-パラフィン(C_<33>H_<68>)の基板上での核形成、成長し、および二次元結晶への成長過程に関する原子・分子レベルで解明する糸口が得られた。また、基板結晶とのエピタクシャル成長に関する情報も得られた。 次に、極性有機分子における凝集構造形成に対する電気的相互作用の寄与の解明を試みた。具体的には、二種類の新規合成有極性試料の蒸着膜のSTM観測を行った結果、これらの分子の凝集形態は分子内の電気的双極子間の相互作用が大きく影響すること、また分子と基板原子とのエピタクシーも関与することが判明した。更に、多極子-多極子相互作用を考慮したコンピュータシュミレーションは観測されたSTM像と良い対応を示すことも判明した。 また、真空低温型STM装置の試作にも取り組み、真空下で熱絶縁性に優れたSTMセル作製の見通しを得た。更に、有機分子を対象に、電解印可による個別分子制御の可能性、および電子物性計測(トンネルスペクトロスコピー)に関しても検討を行った。
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[Publications] K.Matsushige: "The possibility of Nanoscopic Molecular Architecture with Novel Electric Function" Mol.Cryst.Liq.Crust.247. 203-213 (1994)
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[Publications] K.Matsushige: "Scanning Tunneling Microsope Observation of Aggregation Structures inPolar Organic Molecules" Jpn.J.Appl.Phys.33. 3715-3719 (1994)