1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06236213
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大淵 泰司 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (10201980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 紀久夫 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60013489)
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Keywords | 走査型近接場光学顕微鏡 / 近接場 / 非局所応答(理論) / configurational resonance / 多重極モード |
Research Abstract |
走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)の理論的研究を目的に、半導体球の集合体で試料やプローブを表すモデルに対して非局所応答理論を適用して、光の周波数が試料の励起エネルギーに共鳴しているときの信号強度を、プローブ先端部の位置の関数として計算した。プローブは1個または数個の微小球とし、試料を含む全系の非局所応答のうちプローブに誘起された分極がつくる電場強度を「信号強度」とした。光の入射と受光のモードとしては(1)平面波入射でプローブ端受光と、(2)プローブ端で入射も受光も行う、の2通りの場合を考察した。 (1)の場合の目的の一つは、「試料に誘起された分極を正確に測るには、プローブ先端と試料を極端に近づけなければならず、必然的に両者間に強い相互作用が予想される」という前年度の結果に基づいて、相互作用の効果を調べることである。光がプローブにも共鳴していると、等信号強度曲線は実際の試料の形状に比べてはるかに先鋭な形状になる。これは、光の共鳴条件が試料とプローブの相対位置に非常に敏感なためで、configurational resonanceと呼ばれることもある。 通常の光学実験ではほとんどの場合入射光が試料の電気双極子を励起し、その双極子が信号光を発する。しかし上述の(2)の場合、光の出入りを支配するプローブ球は波長よりはるかに小さいので、試料に共鳴的に励起される分極は電気双極子である必要は全くない。多重極成分は遠方では振幅が急減するが、近接場としては双極子場の振幅と比べて全然遜色がないので、近接場強度で決まるプローブ球上の分極(すなわち信号強度)は、双極子共鳴の場合と同程度になり得る。簡単なモデルを用いて、この予想が正しいことを示し、誘起多重極の共鳴周波数と空間構造の両方を精密に観測する全く新しい分光法を提案した。
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Research Products
(1 results)