1994 Fiscal Year Annual Research Report
電場・電流下の表面電子状態の第一原理計算による研究
Project/Area Number |
06236222
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石田 浩 日本大学, 文理学部, 講師 (60184537)
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Keywords | エレクトロマイグレーション / 表面原子操作 / 電子ウインド力 / 密度汎関数法 / 有効電荷 / ジェリウムモデル |
Research Abstract |
電場・電流下の原子に働く力は表面でのエレクトロマイグレーションや原子操作を考える際の重要なパラメータである。この力は通常、電流を運ぶ伝導電子の散乱に起因する間接力(電子ウインド力)と電場に比例する直接力とに分類される。本研究の目的は第一原理計算により直接力・間接力及び関係する物理量を評価することである。このため我々は(1)系の基底状態での電子構造を局所密度近似で計算する、(2)時間依存密度汎関数法のの範囲の線形応答理論により(1)の波動関数等を用いて外部電場によって系に誘起される電子密度、原子に働く力を自己無撞着に決定するの2段階から成る計算法を定式化した。平成6年度はこの方法を電子ガス中の孤立不純物原子、ステップ金属表面に適用して以下の成果を得た。(1)直接力に対する有効電荷:原子の有効電荷は遮廠効果によりΔZだけイオン電荷Z_aから変化するため、直接力はF^d=(Z_a-ΔZ)Eと書ける。電子ガス中の孤立不純物原子に対してはΔZ〜0とΔZ〜Z_aの2説があった。本研究によってΔZが電子ガスの電子密度の減少と共に0からZ_aまで滑らかに増加することが判った。(2)表面電気抵抗と間接力:表面は3次元固体の欠陥であるから、清浄表面の表面原子に対しても間接力が働く。半無限ジェリウム表面上にA1(001)を1層吸着させた系で計算した所、測定に用いる系の膜厚が1000A程度だとして表面電気抵抗の全抵抗率に占める割合は室温で約1%、また間接力に対する有効電荷は約-15と評価された。更にA1(001)を2層吸着させ2層目には〔010〕方向に周期的にステップがあるとした構造では、電場がステップに平行な場合に比べて、垂直な場合には表面抵抗、間接力の平均値とも約50%増加した。
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