1994 Fiscal Year Annual Research Report
蒸気爆発に於ける圧力波の発生・伝播と機械的エネルギーへの転換特性
Project/Area Number |
06237209
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮崎 慶次 大阪大学, 工学部, 教授 (40029202)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
持田 孝史 大阪大学, 工学部, 教務職員 (40263222)
井上 正二 大阪大学, 工学部, 教務職員 (10203233)
堀池 寛 大阪大学, 工学部, 助教授 (20252611)
|
Keywords | 蒸気爆発 / 熱的相互作用 / 溶融錫 / エネルギー変換率 / 圧力依存性 / 衝撃波管 / 発生圧力 / 抑制効果 |
Research Abstract |
本年度は、蒸気爆発におけるエネルギー変換率の系圧力に対する依存性に焦点を絞って実験的研究を行った。鉛直に約5m、内径42mmの衝撃波管型試験部の底部の真空部に高温の溶融錫プールをつくり、その上に膜破断により長さ約1mの水柱を落下させ熱的相互作用を起こし、発生圧力と水柱の上昇速度を測定し、熱から機械的エネルギーへの変換率を測定した。前年度の温度依存性を調べた装置の耐圧を強化し、試験部の上部に接続した加圧タンクのガス圧力を系圧力パラメータとして1〜約7気圧の間で変化させて実験した。 実験結果は次の通りである。1.初期錫温度の上昇に伴い、エネルギー変換率は増加する傾向がある。2.系圧力が変化しても、放出される機械的エネルギーに殆ど変化がなく、エネルギー変換率は高々1%程度と非常に低い値に留まっている。3.圧力が増加すると水柱が加速されて溶融錫への衝突速度が増し、錫と水との混合が促進されて熱的相互作用が増す効果と、加圧による蒸気泡の成長抑制効果が相殺された結果、圧力依存性が弱まったと考えられる。4.圧力信号には、ウォーターハンマーによるとみられるパレスに続いて、熱的相互作用とみられるパルス列が観測されている。 別途、加圧容器内で水中に溶融錫の液滴を落下させて蒸気爆発実験を行ったところ、熱的相互作用は1気圧の場合に較べて、3気圧では大幅に緩和され、5気圧では殆ど起こらなくなると云う結果を得た。 成果はまとめて、国際セミナーや原子力学会に報告の予定である。また、原子炉の工学的安全性の観点から、蒸気爆発を抑制するのに非常に有望な示唆を多く含んでおり重要な結果であるので、次年度はこの様な線に沿った研究を更に進める方針である。
|