1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06238105
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹田 美和 名古屋大学, 工学部, 教授 (20111932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大柳 宏之 電子技術総合研究所, 電子基礎部, 研究員
田渕 雅夫 名古屋大学, 工学部, 助手 (90222124)
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Keywords | 電子波 / 干渉効果 / X線 / EXAFS / 原子位置 / 干渉の制御 |
Research Abstract |
X線で励起した物質中のコヒーレントな電子波は、原子との相互作用に基づく明瞭な干渉効果を示す。これはXAFSと称され、物質によるX線吸収スペクトルにおいて微細構造として観察される。一方、物質中の原子配列構造は、現在の結晶成長法によって制御可能である。この2点を積極的に用いることにより、メソスコピックなスケールにおけるコヒーレント電子波の諸効果をその極限状態・理想状態で観測・解析し、本重点領域における物性物理のより深い理解とその制御法探索の指針となることを目的としている。 本年度は、Si原子(あるいはドナー原子)が、AlGaAs中において、大きく移動することを確かめること、および、その移動による電子波干渉効果を測定するために、現在我々が持っているXAFSの物理的理解とモデル・理論解析手法を併せて、XAFS信号のシミュレーションを行った。同時に、温度可変でかつ光導入による原子移動を行えるXAFSステージと冷凍機の購入およびステージの設計・作製を行ったので、その結果の概要について述べる。 シミュレーションについては、第1、第2、第3近接原子とSi原子との干渉効果によって生じるXAFS信号及びそのフーリエ変換を求め、実験によって観測されるべき信号を具体的に表すことができ、且つ、それが十分観測可能であることを示した。温度可変・光導入ステージは、室温から10Kまで温度可変で、且つ、全反射入射のために微小角変化が可能であること、更に、他の元素の影響を避けるため、入射線上および検出線上に傷害物がない配置とし、全アルミニウムおよび高分子材料による本体および部品により作製を行った。このステージを用いた測定は、来年度のビームタイムに行う予定である。
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