1994 Fiscal Year Annual Research Report
化合物半導体総合量子井戸構造における量子電子輸送現象とジョセフソン効果
Project/Area Number |
06238202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 英男 東北大学, 工学部, 教授 (00152215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松倉 文ひろ 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (50261574)
澤田 安樹 東北大学, 理学部, 助教授 (90115577)
江澤 潤一 東北大学, 理学部, 助教授 (90133925)
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Keywords | 結合量子井戸構造 / 分数量子ホール効果 / ジョセフソン効果 / 化合物半導体 / GaAs / AlGaAs / 分子線エピタキシ- |
Research Abstract |
本研究は、結合量子井戸の量子電子輸送現象をとりあげ、高移動度を有する結合2重量子井戸構造の結晶成長と、2層の電子系それぞれに独立にコンタクトを有する素子の製作を行い、それを用いて低温・強磁場中での2層の2次元電子系の輸送現象を明らかにすることを目的としている。本年度の研究では、理論面で横磁場下での系の基底状態の相転移に関し新しい知見を得た。具体的には、2層の分数量子ホール状態にある電子層の間の量子位相の存在を明らかにするために横磁場B_<11>の効果を解析した。その結果、(1)B_<11>が小さいときには外部磁場は2層間で不完全にスクリーンされ、臨界磁場を越えると外部磁場は自由に2層間に侵入すること、(2)Murphyら(Phys.Rev.Lett.,72,728(1994))の報告した2層分数量子ホール系におけるp_<xx>の活性化エネルギの印加磁場角度依存性がこの2つの相で良く説明できること、が明らかになった。実験面では分子線エピタキシによる結晶成長と測定用デバイス作製装置の製作、さらにデバイスの試作を行い、低温・高磁場下のヘテロ構造の測定準備を進めた。具体的には、2層の電子層それぞれにオーミックコンタクトを取るためにフロントゲートとバックゲートを使って上と下のチャネルをそれぞれ切るデバイス構造を作製するプロセスを開発した。そのために必要な表面と裏面の構造をアラインさせるマスクアライナを製作した。測定では、希釈冷凍器つき超伝導磁石で8mK、14.5Tまでの予備測定を行い、選択ドープヘテロ接合で分数量子ホール効果の観測されることを確認した。
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