1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06240104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 幸雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (40025698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 寿昌 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (00111021)
高橋 孝志 東京工業大学, 工学部, 教授 (80110724)
平間 正博 東北大学, 理学部, 教授 (30165203)
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Keywords | 超分子 / DNA / エンジイン / クロモプロテイン / 2本鎖切断 / 作用発現 / 分子設計 |
Research Abstract |
DNAに作用する天然活性分子の研究において、非共有結合を基盤とする動的機構の解析と作用発現のメカニズム解明を目指して、超分子形成場を核酸、特にDNAとし、また天然活性分子としては新規な化学構造と強力な抗腫瘍活性を有するエンジイン型化合物を中心に、何故このような化合物が強い活性を示すのかを追究している。クロモプロテインにおけるアポ蛋白質-エンジインクロモホア相互作用、エンジインクロモホアによる塩基配列特異的認識と2本鎖同時切断特性、これら活性分子の活性発現制御機構などに関して分子レベルでの理解につとめた。他方、新しいタイプのエンジイン型化合物の分子設計、合成、活性評価を展開し、DNAを標的とするエンジイン型化合物の新しい化学の開拓にもつとめた。今年度の特筆すべき成果として、9員環エンジインとP-ベンザインビラジカルとの平衡の発見がある。9員環エンジインの芳香環反応速度は、水素供与体としての溶媒の種類によって著しく影響され、9員環エンジインはP-ベンザインビラジカルと平衡にある可能性を示した。この結果は、9員環エンジインが水素供与体から隔離されれば安定に存在できることを暗示しており、天然抗生物質であるC-1027やケダルシジンの9員環エンジインクロモホアがアポ蛋白質中で速度論的に安定化されていることを強く示唆するもので、極めて価値ある研究結果である。この他、ダイナミシンAのエンジイン核によるDNA2本鎖切断の仕組の解明や興味あるDNA切断特性を有する新規9員環エンジイン化合物の創製など注目すべき研究成果が得られた。
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[Publications] M.Uesugi: "Hydrophobic DNA binding of esperamicin requires conformational distortion of the host DNA" Biochim.Biophys.Acta. 1261. 99-106 (1995)
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[Publications] K.Iida: "Synthesis and characterization of nine-membered cyclic enediynes,models of C-1027 and kedarcidin chromophore" J.Am.Chem.Soc.117. 8875-8876 (1995)
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[Publications] T.Takahashi: "Synthesis of dynamicin A analogue and its Bergman-type cycloaromatization" Angew.Chem.Int.Ed.Engl.34. 1345-1348 (1995)