1994 Fiscal Year Annual Research Report
希土類元素を含む高分子金属錯体を前駆体とする新規材料化プロセスの開発
Project/Area Number |
06241225
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (50233664)
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Keywords | 希土類元素 / 高分子金属錯体 / 錯体重合法 / 材料化プロセス / セラミックス |
Research Abstract |
平成6年度は、錯体重合法を用いて、自動車用触媒として有望視されているLaMO_3ペロブスカイト型酸化物、超伝導体として有名なLnBa_2Cu_3O_7(Ln=Y,Er,Dy,Gd)、誘電体材料として注目されているLa_2Ti_2O_7の合成研究を中心に行った。金属錯体としてクエン酸錯体を用い、130℃のエチレングリコール溶媒中でポリエステル化反応を進行させて、ポリエステル樹脂を合成した。この樹脂は透明であり、均一な希土類含有セラミックスを合成するための前駆体として有用であることが明らかとなった。とくにLa/Tiの組み合わせにおいて、エチレングリコール/クエン酸溶液中で1:1複合クエン酸錯体が生成することを^<13>C-NMR分光法により初めて見い出した。この複合錯体は加熱重合のあいだ分解することなく安定に存在し、このため均一なLa_2Ti_2O_7を固相法と比較して600℃以上も低温で純粋な物質として合成できることが明かとなった。またLaMO_3酸化物粉体は400℃以下の低温で単相で合成できることがわかり、比表面積も30m^2/gを越え固相法での5m^2/gあるいはゾルゲル法での14m^2/gより優れた結果を示した。さらに、LnBa_2Cu_3O_7(Ln=Y,Er,Dy,Gd)についても高純度な試料を得ることができた。とくに超伝導の転移の幅(ΔΤ_c(10-90%))はいずれの試料も1.0K以下と例外的に小さな値を示した。これは、錯体重合法が少なくともこれまでに発表されている合成法の中で最も満足のできる方法であることを示すものであった。
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[Publications] 長田 実、垣花眞人、八島正知、吉村昌弘、間崎啓匡、安岡 宏: "希土類と鉛で同時置換した変調構造のない(Bi,Pb)_2Sr_2(Ca,R)Cu_2Oz_<+a>(R:rare earth=Y)のフォノンラマン散乱" 粉体および粉末治金. 41. 1487-1491 (1994)
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[Publications] M.Kakihana,M.Arima,M.Yashima,M.Yoshimura,H.Mazaki,H.Yasuoka: "Chemical Design for Functional Multi-Component Oxides by Polymerized Complex Method" Transactions of Material Research Society Japan. 14A. 801-806 (1994)
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[Publications] M.Kakihana,M.Arima,M.Yashima,M.Yoshimura,Y.Nakamura,H.Mazaki,H.Yasuoka: "Polymerized complex route to the synthesis of Multi-component oxides" Sol-Gel Science and Technology. (1995)