1994 Fiscal Year Annual Research Report
希土類錯体の化学反応のポテンシャル面の非経験的分子軌道計算
Project/Area Number |
06241231
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古賀 伸明 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (80186650)
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Keywords | 希土類錯体 / オレフィン重合 / 非経験的分子軌道法 / ポテンシャル面 / サマリウム |
Research Abstract |
近年、希土類錯体を用いた有機化学反応や有機金属反応が実験的に調べられ、新しい化学反応が開発されている。従来から広範に使用されてきたd遷移金属錯体と希土類錯体の反応性との違いが興味あるところである。この研究では、希土類錯体とそれ以外の遷移金属錯体の化学反応性の違いを比較することによって、希土類錯体の特性を明かにすることを目的とした。今年度は、サマリウム錯体によるオレフィン重合のモデル反応のポテンシャル面の様子をab initio MO法を用いて計算し、対応する4族d金属カチオン錯体(Kaminsky型触媒)の場合と比較検討するとともに、4f遷移金属の計算方法に関するテストを行った。H_2SiCp_2SmCH_3がモデルとしたサマリウム錯体触媒である。 この反応では、まず、エチレンが配位し、そして4中心遷移状態を経てエチレン挿入反応が起きる。電子相関を考慮したMP2レベルでは、20kcal/molの結合エネルギーでエチレンがSm錯体に配位する。このエチレン錯体中間体からの活性化エネルギーは9kcal/molで、10kcal/molの発熱と計算された。全体として、30kcal/molの発熱である。挿入反応が容易に進むことがわかる。 相対論敵効果を取り込むために有効内殻ポテンシャルを用いたが、4f軌道を計算であらわに考慮する場合と、有効内殻ポテンシャルで近似してしまう場合を比較すると、反応エネルギープロフィールには大きな違いはない。このことは、4f軌道が内殻として振る舞っていることを示唆する。H_2SiCp_2SmCH_3のSm-C結合を表す局在化軌道を求めたところ、Smの小さな電気陰性度を反映して、炭素に片寄ったイオン性の強い結合であるとともに、Smの4f軌道の寄与は無視できることが明らかになった。
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