1994 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト型酸化物の電解合成における希土類-遷移金属錯体形成
Project/Area Number |
06241263
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松本 泰道 熊本大学, 工学部, 教授 (80114172)
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Keywords | 電解酸化 / ヘロブスカイト / 希土類イオン / 水晶振動子マイクロバランス / 水和水 / コバルト酸化物 |
Research Abstract |
電解酸化によりコバルト酸化物を電析させたが、これは組成的にCoOOHであることをFt-IRにより確認した。さらに希土類イオンが電解液中に共存するとこのイオンが取り込まれるとと同時に電析を著しく抑制することも明らかとなった。また、希土類イオンの中でも原子番号が大きいもの程取り込まれる量が多く、かつ抑制効果も大きいことが明らかとなった。希土類イオンは膜中に取り込まれるが同時に硝酸イオンを引きつけていたが、XPSの結果などから電析中にはこのアニオンは膜中には取り込まれていないと結論できた。QCMの測定結果からは膜はCoOOHLn^<3+>nH_2Oと表すことができ、La^<3+>についてはこのイオンは5つの水分子とともに膜中に取り込まれると結論できた。希土類イオンの原子番号の順にこの水和数は増加し、このことは水の中の希土類イオンの水和数の増加と定性的に一致している。XPSの測定によると膜中で希土類イオンはCoOOHの構造のCo-O層の間に水分子と共にインターカレートしている可能性がある。この中で、希土類イオンは酸素イオンと強く結合していることが示唆された。二酸化マンガンの電析においては、希土類イオンは同様に電析抑制効果を有するが、コバルトの場合程大きくはない。同時に希土類イオンの取り込まれる量はそれほど多くはない。また、電析抑制効果の原子番号依存性はコバルト酸化物の電析程大きくはなく、マンガンの場合とコバルトの場合では希土類イオンの電析抑制機構に違いがあると言える。一つの考えとして、コバルト酸化物では希土類イオンは構造内に取り込まれながら抑制するのに対してマンガン酸化物の場合には構造内に取り込まれることなく、単にマンガン酸化物表面に吸着されながら取り込まれるのではないかと考えられた。
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