1994 Fiscal Year Annual Research Report
多数の硫黄原子を有するTTF誘導体の合成と錯体の電導性
Project/Area Number |
06243213
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
野上 隆 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80029280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 尚行 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (00232306)
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Keywords | 有機超伝導体 / イオンラジカル塩 / 結晶構造解析 / 電気伝導度 / ドナー分子 / アクセプター分子 / 電解結晶法 / バンド計算 |
Research Abstract |
メチレンジチオ(2-オキサトリメチレンジチオ)テトラチアフルバレンを成分とするイオンラジカル塩結晶を電気化学的方法で合成した。錯体中のアニオン部には、種々の無機の直線アニオン、正八面体アニオン、正四面体アニオンを用いた。直線アニオンおよび正四面体アニオンの場合は半導体であった。八面体アニオンPF_6^-、AsF_6^-、SbF_6^-、NbF_6^-、TaF_6^-の場合はすべて、高温部で金属的挙動を示し、低温部(22-68K)で非金属に転移した。PF_6^-とAsF_6^-塩の結晶構造は、共にβ型であった。Extended Huckel分子軌道をベースにした強結合近似によるバンド計算では、擬一次元的なフェルミ面を与えた。圧力をかけた状態での伝導度の温度変化を測定するため、圧力セルを作製した。AsF_6^-塩では、7.9kbarの圧力下では上記の非金属転移は抑えられて、2.5Kまで金属状態を維持した。また、これらの実験結果を以前我々が行なった類似ドナー分子、エチレンジチオ(2-オキサトリメチレンジチオ)テトラチアフルバレンのイオンラジカル塩の伝導性と比較した。多数の硫黄原子を有する新規ドナー分子をめざして、ビス(エチレンジチオ)チエノチオフェンとビス(エチレンジチオ)チエノジチインを合成した。1分子中に、前者は6個の、また後者は7個の硫黄原子を有する。それらの分子構造をX線結晶構造解析により決定した。導伝性錯体の開発をめざして、TCNQとDCNQIの部分構造をあわせ持ったアクセプター分子であるN、7、7-トリシアノキノメタンイミンの合成法を確立した。
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