1994 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌のGroELにより認識されるタンパク質の中間構造状態の解析
Project/Area Number |
06248204
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑島 邦博 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (70091444)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊倉 貞吉 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (50251393)
|
Keywords | タンパク質の細胞内輸送 / 分子シャペロン / シャペロニン / GroEL / モルテン・グロビュール状態 / α-ラクトアルブミン / タンパク質折れたたみ / 巻き戻り反応 |
Research Abstract |
GroELは、生体内で、タンパク質折れ畳み反応の中間体を認識していると考えられている。GroELによる標的蛋白質認識の分子機構を明らかとするため、中間構造状態にあるα-ラクトアルブミン(α-LA)とGroELとの相互作用をin vitroのモデル系を用いて調べている。昨年度までの研究より、分子篩いクロマトグラフィーを用いた実験では、α-LAのモルテン・グロビュール状態とGroELとの相互作用は認められないが、モルテン・グロビュールよりさらに構造の崩れが還元α-LAは、50mMKClの存在下で、GroELと強く結合することが明らかとなっている。 今年度は、分子篩クロマトグラフィーのクロマトグラムのタンパク質濃度依存より、50mMKCl存在下、pH8.0、25℃で還元α-LAとGroELとの結合定数を求め、10^7M^<-1>のオーダーであることがわかった。 アポα-LAの酸側でのモルテン・グロビュール状態からの巻き戻り反応をストップトフロー蛍光法で追跡し、巻き戻りの速度過程にGroELがどのように影響するかを調べた。モルテン・グロビュール状態にあるα-LAとGroELが弱くとも互いに相互作用するとするなら、1/(結合定数)に相当するGroEL濃度で速度過程に変化が観測されるはずである。GroELが0.2μMではアポα-LAの巻き戻り反応には変化は観測されなかったが、2μM GroEL存在下では巻き戻り速度が約半分に減速するのが観測された。この結果はアポα-LAのモルテン・グロビュール状態がGroELにより認識されたその結合定数が10^5M^<-1>のオーダーであることを示している。 GroELの標的蛋白質認識には、標的タンパク質とGroELとの構造の動的側面(柔らかさ)が重要と考えられる。この点を明らかとするため、トリチウムラベルされた還元α-LAの水素交換反応にあたえるGroELの影響を調べている。
|
-
[Publications] A.Okazaki,T.Ikura,K.Nikaido,K.Kuwajima: "The Chaperonin GroEL Does Not Recognize Apo-α-Lactalbumin in the Molten Clobule State" Nature Struct.Biol.1. 439-446 (1994)
-
[Publications] A.Okazaki,T.Ikura,K.Kuwajima: "What is the Molten Globule? In Reply" Nature Struct.Biol.2. 10-11 (1995)
-
[Publications] Y.Igarashi et al.: "Solution X-Ray Scattering Study on the Cheperonin GroEL from Fscherichia coli" Biopysical Chem.(印刷中).
-
[Publications] K.Kuwajima: "Spectroscopic Techniques to Study Protein Folding.Circular Dichroism." Methods Mol.Biol.(印刷中).
-
[Publications] 桑島邦博,伊倉貞吉: "折れたたみ機構" 蛋白質 核酸 酵素. 39. 1011-1016 (1994)
-
[Publications] 桑島邦博: "蛋白質の折れ畳みの速度論" SR科学技術情報. 4(No.12). 2-10 (1994)