1994 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前終末における伝達物質放出可塑性の細胞内機序の解析
Project/Area Number |
06253208
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 寛 京都大学, 医学部, 講師 (00144353)
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Keywords | シナプス前終末 / ニューロモデュレータ / ノルアドレナリン / アドレナリン受容体 / 細胞内カルシウム / 開口放出 / 自律神経節 / fura-2 |
Research Abstract |
1.ニワトリ胚毛様体細胞節の杯状シナプス前終末を用いて、シナプス前終末からの伝達物質放出がニューロモデュレータにより修飾される細胞内機序を解析した。 2.シナプス後細胞の興奮性シナプス電流EPSCはノルアドレナリン1-10μMにより増強され、増強は10-60分以上持続した。このときノルアドレナリンがアセチルコリン応答に影響しなかった。低Ca^<2+>高Mg^<2+>条件下でEPSCの素量解析を行うことにより、ノルアドレナリンが単位素量よりはむしろ平均素量数を増大させることが示された。以上により、ノルアドレナリンはシナプス前終末からの伝達物質放出を促進しているものと結論された。 3.ノルアドレナリンによる促進作用は、phentolamineおよびpropranorolによる抑制を受けなかった。また、α_1アドレナリン受容体、α_2アドレナリン受容体、βアドレナリン受容体それぞれに選択的なアゴニストはEPSCの増強を示さなかった。このことから、促進作用に拘わる受容体は、α_1、α_2、βのいずれにも属さないアドレナリン受容体であることが示唆される。α_2受容体アゴニストは反対にシナプス伝達を抑制した。 4.シナプス前終末の活動電位にともなう細胞内Ca^<2+>の増加はノルアドレナリンにより抑制された。この抑制はα受容体阻害薬のphentolamineにより拮抗された。しかし、伝達物質放出促進を説明しうる変化は認められなかった。すなわち、ノルアドレナリンがCa^<2+>増加以後の伝達物質開口放出機序を抑制することが明らかになった。
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[Publications] 八尾 寛: "ホールセル記録法と穿孔パッチ法" 日本生理誌. 56. 305-331 (1994)
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[Publications] 八尾 寛: "Modulation of presynaptic calcium channels by reurotransmitters." Biomedical Research. 15suppl.1. 9-16 (1994)
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[Publications] 八尾 寛: "co-Conotoxin-sensitive and -resistant transmitter relcase from the chide ciliary presynaptic terminal" J.physiol(Lond). 477. 437-448 (1994)
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[Publications] 八尾 寛: "アデノシンの伝達物質放出抑制機序" 実験医学. 12. 61-63 (1994)