1994 Fiscal Year Annual Research Report
動物リボソームRNAの機能ドメインとそのタンパク質認識・高次構造
Project/Area Number |
06258208
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内海 利男 新潟大学, 医学部, 助手 (50143764)
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Keywords | リボソーム / リボソームRNA / リボソームタンパク質 / 抗28SRNA抗体 / チオストレプトン / 抗生物質 / RNA-タンパク質相互作用 / ペプチド鎖伸長因子 |
Research Abstract |
翻訳過程におけるrRNAのはたらきが明らかにされつつある。我々はrRNAの多様かつ動的な機能構造の実体を解明することを研究の大きな目的にしている。これまで、ペプチド鎖伸長因子の作用部位となり機能面で協調していると考えられる、2つのドメイン,“GTPaseドメイン"と“毒素ドメイン"に注目してきた。両RNAドメインとも切り離された断片においてもリボソームタンパク質等の各種リガンドとの結合能を保有し、構造解析のサンプルとして使用できることを示してきた。平成6年度は両ドメインとリガンドとの結合性を詳細に解析し、以下のような新しい知見が得られた。 1.GTPaseドメイン-リボソームタンパク質間相互作用の保存された性質. GTPaseドメインに直接結合するリボソームタンパク質(ラットではL12,大腸菌ではL11)は両種のRNAドメインと近似の結合性を示し、GTPaseドメインとリボソームタンパク質間相互作用が高度に保存されていることが示された。 2.GTPase活性阻害物質の種特異性に関わる構造エレメント 抗生物質チオストレプトンは原核生物のGTPaseドメインと特異的であり、抗28S自己抗体は真核生物のドメインと特異性を示す。この特異的結合に原核生物23SrRNA塩基A-1067と真核生物28SrRNAの対応位置の塩基G(ともにelongation factor EF-G/EF-2の作用部位)の違いが関与することを塩基置換の実験から証明した。 3.毒素ドメインに結合するタンパク質の同定 毒素ドメインを含む130ヌクレオチドのRNA断片に大腸菌リボソームタンパク質L6が特異的に結合することを明らかにした。L6はリボソーム粒子中でGTPaseドメインの結合タンパク質L11と隣接する位置関係にあることから、両ドメインがリボソーム中で隣接していることが示唆された。
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[Publications] Uchiumi,T.and Kominami,K.: "A Functional Site of the GTPase-associated Center within 28S ribosomal RNA probed with an Anti-RNA Autoantibody." EMBO J.13. 3389-3394 (1994)
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[Publications] Sato,T.et al.: "Serological Association of Lupus Autoantibodies to a Limited Functional Domain of 28S Ribosomal RNA and to the Ribosomal Proteins Bound to the Domain." Clin.Exp.Immunol.98. 35-39 (1994)
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[Publications] 劔 邦夫,内海利男: "真核細胞の酸性リボソームタンパク質の構造と機能." 生化学. 66. 342-354 (1994)
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[Publications] 佐藤健比呂ら: "全身性エリテマトーデス患者血清中のリボソーム構成成分に対する自己抗体の解析." 新潟医学会雑誌. 108. 194-199 (1994)
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[Publications] Odani,S.et al.: "On the Molecular Origin of Charge Heterogenity of Rat Liver Fatty AcidBindingProtein(Z-protein)." Arch.Biochem.Biophys.309. 81-84 (1994)
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[Publications] Honma,Y.et al.: "Evidence for Conformational Change of Fatty Acid-Binding Protein Accompanying Binding of Hydrophobic Ligands." J.Biochem.116. 1025-1029 (1994)