1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06258209
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
饗場 弘二 名古屋大学, 理学部, 教授 (20025662)
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Keywords | 転写タ-ミネーター / RNAシグナル / RNA安定性 / ステム・ループ構造 / 転写終結 / RNAプロセシング / crp遺伝子 |
Research Abstract |
1)転写終結機能およびmRNA安定化機能に関与するタ-ミネーター構造のエレメントを解明する目的で、大腸菌のcrp遺伝子の転写タ-ミネーターの変異体を数種構築した。変異タ-ミネーターは、ステム構造を破壊したもの3種とTのクラスターを破壊したもの2種である。 2)変異タ-ミネーターな断片をlacZおよびgalKをレポーターとする転写終結機能検定用のプラスミドにクローニングしてin vivoにおける転写終結機能を定量的に解析した。上記の変異はいずれも転写終結能を大きく低下させることが明らかになり、ステム構造およびTのクラスターの双方が転写終結機能にとって重要な要素であることが確認できた。 3)変異タ-ミネーターがcrpオペロンの発現に及ぼす影響を、タンパク質およびmRNAレベルで定量的に解析した。ステム構造を破壊した変異体ではcrpオペロンの発現の低下が見られたのに対し、Tクラスターを破壊した変異体では影響がなかった。また、前者のcrpオペロンの発現の低下はcrp mRNAの安定性が低下したことにより引き起こされることを明らかにした。この結果から、TクラスターはmRNAの安定化に関与しないこと、いいかえると転写終結機能とmRNAの安定性を規定するRNA(DNA)シグナルは同一ではないと結論した。 4)タ-ミネーター領域の下流にステム構造形成可能な配列が存在するとmRNAの3'末端がその部分までシフトすることをノーザンプロット法およびS1マッピング法により見いだした。このことは、in vivoにおける転写はTクラスター部分で終結するのではなく、Tクラスターを越えて進行したのちプロセシングによりmRNAの3'末端が生成されていることを示すものである。
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