1994 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエS×l遺伝子における性特異的スプライシング機構
Project/Area Number |
06258212
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂本 博 神戸大学, 理学部, 助教授 (00187048)
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Keywords | Sxl蛋白質 / RNA結合蛋白質 / スプライシング / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
Sxl蛋白質の標的となる前駆体RNA上の塩基配列を、アフィニティーカラムとポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法などを利用してランダムなRNA配列の中からSxl蛋白質に特異的に結合するものをスクリーニングする方法(SELEX法)によって、詳細に特定した。SELEX法によって選択されてきたものから17種類を選び、それらの塩基配列を決定した後、それぞれのSxl蛋白質に対する親和性をUVクロスリンク実験を行うことによって調べた。その結果、高い親和性をもつ配列には、ウリジンに富む配列のすぐ下流にAG配列が存在しており、実際のSxlの標的遺伝子のtransformerのスプライス制御配列に高い相同性を示すことが明らかになった。また、Sxl蛋白質が結合することが知られているtransformerの性に非特異的なスプライス部位付近のRNA配列の中のAG配列を変化させると、Sxl蛋白質への親和性が著しく低下することが明らかになった。これらのことは、Sxl蛋白質が単に連続ウリジン配列のみを認識するのではなくて、さらに下流の3'スプライス部位の配列も同時に認識していることを示唆している。また最近、蛋白質間相互作用の研究に利用され始めた酵母を用いたtwo-hybrid systemと呼ばれる系を用いて、従来から知られている基本的なスプライシング因子(例えば、U2AFやSF2など)と、スプライシング調節因子であるSxl蛋白質との相互作用の有無を調べた。その結果、Sxl蛋白質はU2AFと相互作用するが、SF2とは相互作用しないこと、また、Sxl蛋白質どうしのホモの相互作用が観察された。さらに、Sxl蛋白質中の相互作用に必須な領域を特定するために、いくつかの欠失変異体を作成して調べたところ、驚くべきことにSxl蛋白質中のRNA結合ドメインが蛋白質間相互作用に必須であることが明らかになった。
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[Publications] Nakai,K.: "Construction of a novel database containing mammalian aberrant splicing mutations." Gene. 141. 171-177 (1994)
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[Publications] Abe,R.: "Tissue-specific expression of the gene encoding a mouse RNA binding protein homologous to human HuD antigen." DNA Res.1. 175-180 (1994)
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[Publications] Sakashita,E.: "Characterization of RNA binding specificity of the Drosophila Sex-lethal protein by in vitro ligand selection." Nucleic Acids Res.22. 4082-4986 (1994)