1994 Fiscal Year Annual Research Report
光傷害における光化学系II-D1タンパク質の代謝回転の分子機構の研究
Project/Area Number |
06259204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池内 昌彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (20159601)
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Keywords | 光合成 / 光化学系II / D1タンパク質 / 光傷害 / 系II遺伝子 / 光感受性遺伝子 |
Research Abstract |
1.光傷害時のD1タンパク質の分解過程解析:形質転換ラン藻Synechocustis PCC6803をモデル生物として用い、その野生株および光化学系IIの遺伝子psbKを破壊した株(psbK^-株)に強光照射を行い,タンパク質合成阻害条件下でのD1,D2タンパク質の分解過程をウェスタン解析した.又,細胞の全タンパク質を解析できるように、メタノール前処理法を開発した.野生型,psbK^-株ともにD1,D2タンパク質の分解はほぼ同じ時間依存性を示し,系II複合体の反応中心全体が速い代謝回転をしていることが明らかになった.その半減期はpsbK^-株が野生株よりも数倍早く、光傷害を解析するよいモデル系になることが明らかになった.セリン型プロテアーゼの阻害剤であるフェニルメチルスルホニルフルオリドを共存させると,これらのタンパク質の分解が抑えられ,また適当な条件では分解途中の産物と思われる約10kDaタンパク質が検出できた.現在,このタンパク質を単離を試みている.もし,このタンパク質の末端アミノ酸配列を決定できれば,光傷害時のD1タンパク質分解の初期過程を明らかにできるものと期待している. 2.光傷害感受性を示す突然変異部位の解析:(1)psbK^-株はクルコース下でとくに光感受性が高いことが明らかになった.この株の自然復帰変異株を多数単離できたので,相補性試験を行い,光感受性を抑圧する遺伝子を現在単離中である.(2)野生株をエチルメタンスルホン酸処理して,グルコース/光/アンピシリンでスクリーニングを行い,グルコース存在下で光感受性を示す変異株を新しく多数単離した.相補性試験によって,野生株遺伝子ライブラリーからこのうちのひとつの変異を相補するクローンの単離に成功した.現在,変異を起こしている遺伝子を解析中である.
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