1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内共生細菌の合成するストレスタンパク質の性質とその遺伝子発現機構
Project/Area Number |
06261211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 恵春 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (80250215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 統 東京大学, 大学院理学系研究所, 教授 (70012482)
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Keywords | 細胞内共生 / ストレスタンパク質 / リン酸化 / 遺伝子発現 / アブラムシ |
Research Abstract |
半翅目昆虫のアブラムスは大腸菌と系統的に近縁な細胞内共生体を持つ。シンビオニンは細胞内共生体が菌体内で選択的に大量に合成しているシャペロニン(Cpn60)ファミリーに属するストレスタンパク質であり、大腸菌GroELときわめて高い構造上の相同性をもつ。一方、シンビオニンは大腸菌GroELにはみられない活性(リン酸基転移活性)をもっている。またシンビオニンは、その発現にCpn10を伴わない点でも大腸菌GroELと異なっている。そこで、シンビオニンに特異的な活性が大腸菌GroELとの間のどのような構造の違いによって生じるのか、また、なぜシンビオニンの発現にはCpn10の発現を伴わないのかを明らかにするため、研究を行っている。 まず、シンビオニン遺伝子および大腸菌GroEL遺伝子の一部をそれぞれ用いてキメラ遺伝子を作製した。また、シンビオニンの自己リン酸化においては大腸菌との間で保存されていないヒスチジン残基がリン酸化することが示されたことから、そのヒスチジン残基を中心に変異を導入した遺伝子も作製した。これらの遺伝子を大腸菌内で高発現させ、得られたキメラタンパク質の性質を現在検討中である。 一方、シンビオニンmRNAの構造を検討したところ、大腸菌の場合と同様Cpn10→シンビオニンの順に同一のmRNAに転写されており、シンビオニンの発現にCpn10の発現を伴わないのは、転写後段階での調節によることが明らかになった。
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[Publications] Mizue Morioka,Hiromichi Muraoka,Kazuo Yamamoto,Hajime Ishikawa: "An endosyumbiont chaperontn is a novel type of histidine protein kinase" Joural of Biochemistry. 116. 1075-1081 (1994)