1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期制御におけるカルシウム情報伝達系の意義:特に血管内皮・平滑筋細胞について
Project/Area Number |
06262219
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 誠 九州大学, 医学部, 助教授 (80225515)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 淳二 九州大学, 医学部, 講師 (90237727)
|
Keywords | 細胞周期 / 血管平滑筋細胞 / 細胞質カルシウム / カルシウムチャネル / チロシンリン酸化 |
Research Abstract |
1.細胞周期進行における[Ca^<2+>]iの上昇の重要性。ニッケル(Ca^<2+>流入阻害)とリアノジン(Ca^<2+>放出阻害)の同時処理により[Ca^<2+>]i上昇を完全に阻害した状態では、血小板由来増殖因子(PDGF)による細胞周期のG_0期⇒G_1期移行やエンドセリンによるG_1期⇒S期/M期移行は、阻害されなかったが、アンギオテンシンによるG_1期⇒S期/M期移行は、阻害された。サイクリックAMP/Aキナーゼ情報伝達系の活性化により、[Ca^<2+>]iは低下するにも拘らず、細胞周期はG_0期⇒G_1期へ進行した。高グルコースは、[Ca^<2+>]iに影響を与えずに、細胞周期をG_1期⇒S期/M期へ進行させた。以上の結果から、1)[Ca^<2+>]i上昇は、G_0期⇒G_1期移行にとって必須ではない。2)[Ca^<2+>]i上昇は、G_1期⇒S期/M期移行にとっては重要な役割を果たしているか、その重要性の程度は増殖刺激の種類によると考えられた。 2.細胞周期進行に伴うCa^<2+>チャネルのタイプの変化。G_0期細胞は、LタイプCa^<2+>チャネルのみを有している。しかし、細胞周期がG_1期、S期と進行するにしたがって、LタイプCa^<2+>チャネルは減少し、TタイプCa^<2+>チャネルが著明に発現されてくる。さらに、細胞周期がM期となると、TタイプCa^<2+>チャネルが消失し、LタイプCa^<2+>チャネルのみとなる。このようなCa^<2+>チャネルのタイプの変化は、Ca^<2+>動態調節に影響を与えると考えられ、現在、細胞周期進行に伴うCa^<2+>動態調節機構の変化について検討中である。 3.セリン/スレオニン燐酸化酵素であるAキナーゼの活性化によって引き起こされるプロトオンコジーンの発現やG_0期⇒G_1期への細胞周期進行において、セリン/スレオニン燐酸化のみならず、ある核蛋白質のチロシン燐酸化も重要な役割を果たしている事が解った。 4.血管内皮細胞には、エンドセリン(ET)のET_A受容体が存在し、[Ca^<2+>]i上昇を引き起こす事が解った。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Miyagi,Y: "Resting load regulates cytosolic calcium-force relationship of the contraction of bovine cerebrovascular smooth muscle." J.Physiol.(London). (in press).
-
[Publications] Miyagi,Y: "The resting load-regulated sensitivity of vascular smooth muscle is mesiates by a [Ca^<2+>]i-insensitive mechanism." Am.J.Physiol.(in press).
-
[Publications] 小林 誠: "細胞増殖因子とカルシウム" Clinical Calcium. 4. 36-40 (1994)