1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06267203
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菅野 雅元 千葉大学, 医学部, 助教授 (40161393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 克 千葉大学, 医学部, 教授 (80110310)
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Keywords | GM3ガングリオシド / 糖鎖認識 / 妊娠 / T細胞受容体遺伝子 |
Research Abstract |
[目的] これまで我々はマウス・メラノーマ抗原として機能しているGM3ガングリオシドを用いたリポソームを認識するT細胞による糖鎖認識のメカニズムを、分子レベルで解析してきた。平成6年度は、以下の計画のもとに実験を行った。 (1)複数のGM3認識T細胞株からT細胞受容体遺伝子を単離し、そのcDNAの塩基配列を決定する。 (2)GM3ガングリオシドは特に胎盤に多いことから、これを認識するT細胞集団は正常マウスでも胎盤に多いことが考えられた。つまりこのT細胞集団は、妊娠と何らかの相関があると考えられた。そこでGM3と妊娠の関係を理解するために、GM3認識T細胞の分化・生理的意義を調べる。そのために [結果・考察] (1)GM3リポソームを認識するT細胞株を用いた解析はほぼ終了した。多くの細胞株を解析してもやはり均一なVα11Jα281/Vβ13が主であることが判明した。しかしin vitroのバイアスをかけないためにGM3リポソームと同時培養したマウスspleen細胞のT細胞受容体の解析を高感度な環状PCR法、または最近我々が開発した超高感度のPCR法を用いて現在解析を行っている。ちなみにこの方法は、1個の細胞からcDNAライブラリーを作成し得る感度を有している。 (2)妊娠期間中の母親の末症血中に存在するVα11Jα281という再構成の際に生ずる環状DNAの量を測定した。コントロールとして同じJα281と異なるV(Vα4)との再構成の際に生ずる環状DNAを用いた。妊娠14-16日において一過性にVα11Jα281環状DNAのみが増加していることが観察された。つまり妊娠の中期から後期において一過性にGM3認識T細胞特異的な遺伝子再構成が起きていることがわかった。このことから、妊娠中期にGM3を認識するT細胞特異的な遺伝子再構成が胎盤でまず起き、4-5日後に末梢でも同じ再構成が起きることがわかった。 (3)RT-PCRによりVα11Jα281CαのmRNAが特異的に増加していることが判明した。 以上のことより、GM3を認識するVα11Jα281/Vβ13という均一な抗原リセプターを持つT細胞が妊娠の維持に関与しているのではないかと考えられるので、現在さらにこの点を追求している。このような抗原(GM3)/均一な抗原リセプター(Vα11Jα281/β13)/生理的意義(妊娠の継続)というシステムの樹立はほかに例がない。このシステムを用いることにより、糖鎖構造と生命現象は免疫学を介して解析できると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Makino,Y.: "Extrathymic differentiation of a T cell bearing invariant Vα14Jα281 TCR." Intern.Rev.Immunol.11. 31-46 (1994)
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[Publications] Makino,Y.: "Extrathymic development of Vα14 positive T cells." J.Exp.Med.177. 1399-1408 (1993)