1994 Fiscal Year Annual Research Report
糖タンパク質糖質のN-アセチルガラクトサミニル化機構の解析
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06267204
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
古川 清 (財)東京都老人総合研究所, 生体情報部門, 室長 (10190133)
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Keywords | ウシ乳腺上皮細胞 / butyrophilin / 部位特異的糖鎖修飾 / N-アセチルガラクトサミン転移酵素 |
Research Abstract |
極めて珍しいGalNAcβ1-4GlcNAc構造を含むAsn型糖鎖はウシ下垂体糖ペプチドホルモンで見いだされ、これはペプチド中のPro-X-Arg/Lys配列を認識するN-アセチルガラクトサミン転移酵素により合成されることが明らかとなった。我々はウシ乳腺上皮細胞由来の糖蛋白質Asn型糖鎖の構造を解析し、これらの糖蛋白質の多くがGalNAcβ1-4GlcNAc構造の糖鎖をもつことを見いだし、ウシ乳腺の転移酵素は下垂体とその基質特異性が異なるのではないかと考えた。今回、乳腺蛋白質でその全アミノ酸配列が決定されているbutyrophilinを精製し、格糖結合部位における糖鎖の構造を解析したところ、GalNAcβ1-4GlcNAc構造をもつ糖鎖には部位特異性が見られ、その近傍にPro-Cys-Arg配列が存在した。そこでウシ乳腺からDEAE-Sephacel,Affi-GelBlue,Hg-UDP-GalNAc-Speharoseのカラムを用いてN-アセチルガラクトサミン転移酵素を部分精製し、この糖転移酵素がペプチド特異性をもつかどうかを酵素学的に解析している。 一方、ヒト乳腺上皮細胞由来の糖蛋白質Asn型糖鎖の構造を解析したところ、GalNAcβ1-4-GlcNAc構造はほとんど見いだされなかったが、ヒト乳癌より樹立したMRK-nu-1細胞では、細胞膜糖蛋白質糖鎖の約4%がこの二糖構造をもつ糖鎖であった。ヒト乳腺におけるこの二糖構造の発現は、細胞の癌化と相関する可能性が考えられ、ヒト乳癌の進行度とこの二糖構造の発現量の相関を調べている。
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[Publications] Sato,T.: "Site-specific glycosylation of bovine butyrophilin" J.Biochem.117. 147-157 (1995)
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[Publications] Akimoto,Y.: "Immunohistochemical localization of the protein reactive to human β-1,4-galactosyl-transferase antibodies during chick embryonic skin differentiation" Anatomical Record. (印刷中). (1995)
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[Publications] Bhavanendan,V.P.: "Biology of the Sialic Acids" Plenum Publishing Corp.,New York(印刷中), (1995)
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[Publications] Endo,T.: "New Comprehensive Biochemistry“Glycoproteins"" Elsevier Publishing,Amsterdam(印刷中), (1995)