1994 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖結合性抗生物質の糖鎖構造認識機構の解析とその応用
Project/Area Number |
06267220
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
水落 次男 東海大学, 工学部, 教授 (90133149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 宗宏 東海大学, 工学部, 講師 (00266371)
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Keywords | 人工糖脂質 / 糖鎖プローブ / レクチン / 抗真菌剤 / 抗生物質 |
Research Abstract |
本研究では、我々が最近開発に成功した糖蛋白質糖鎖の糖脂質化技術を駆使して様々な糖蛋白質糖鎖を導入した人工糖脂質を作製し、これを糖鎖プローブライブラリーとして用いて、抗真菌剤であるPradimicin A及びその誘導体の糖鎖構造認識機構を明らかにし、その作用機構を解明すること、また、この物質がもつ糖鎖認識機構を利用して細菌やウイルスの宿主への接着過程等における細胞表面糖鎖の生理機能を解析するとともに、糖鎖に着目した細菌感染やウイルス感染の防御・治療法を確立することを目的として研究を実施した。これまでに種々の糖蛋白質から糖鎖を遊離・精製後、糖脂質化技術を駆使して、これら糖鎖から様々な糖鎖構造を有する糖鎖プローブ(人工糖脂質)ライブラリーを作成した。この糖鎖プローブライブラリー、各種単糖をBSAに導入した種々の人工糖蛋白質、および天然の糖蛋白質に対するPradimicin A及びその誘導体の糖鎖結合能を生化学的に解析した結果、この物質が、高マンノース型糖鎖に結合するCa^<2+>依存性の糖鎖結合性抗生物質という全く新しい概念の物質であることが判明した。また、この物質がエイズウイルス表面の糖蛋白質gp120の高マンノース型糖鎖に結合してHIV感染を阻止することも示された。そこでさらに、この糖鎖認識に関与するPradimicin Aの分子内部位と糖鎖側の分子内部位を明らかにするために、様々な人工糖脂質に対する結合実験、単糖を用いた結合阻害実験、及びPradimicin Aの種々の誘導体を用いた人工糖脂質糖鎖に対する結合実験等を行なった。その結果、糖鎖結合性抗生物質による糖鎖認識には、抗生物質側および糖鎖側の両方でそれぞれ複数の分子内部位が関与していることを示す知見が得られた。今後は、この部位をさらに詳細に解析する計画である。
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[Publications] Matsui,T.: "Structural analysis of N-linked oligosaccharides ofequine chorionic gonadestiopin and lutropin β-subunits" Biochemistry. 33. 14039-14048 (1994)
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[Publications] Sugimoto,M.: "Oligomannose-coated liposomes aas an adjuvant for the induction of cell-mediated immunity" FEBS Letters. (印刷中). (1995)
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[Publications] 水落 次男: "早期リウマチにおけるリウマトイド因子の測定" リウマチ科. 12. 337-343 (1994)
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[Publications] 水落 次男: "細菌付着過程における宿主側受容体糖鎖の人工糖脂質による解析" 感染・炎症・免疫. 24. 197-205 (1994)
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[Publications] 水落 次男: "糖蛋白質糖鎖と細胞認識" Bacterial Adherence研究. 8(印刷中). (1995)
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[Publications] 水落 次男: "HIV表面糖鎖結合新型エイズ治療薬の開発" 日本臨床. (印刷中). (1995)
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[Publications] 水落 次男: "糖鎖II,糖鎖と病態「リウマチ・AIDS患者での糖鎖異常" 東京化学同人, 120-133 (1994)
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[Publications] 水落 次男: "複合糖質「エイズウイルスと糖鎖」" メジカルビュー社, 110-121 (1994)