1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06270217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (00191429)
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Keywords | 大脳皮質 / 層状構造 / TGF / 細胞分化 / RT-PCR / ラット |
Research Abstract |
発生期の大脳皮質では、脳質部で分裂を終了したニューロンがその生まれた時刻に応じて特定の層に配属され,最終的に6層構造の細胞構築が形成される。さらに各々の層を構成するニューロンは、その形態や大きさ、投射パターンの違いによっても識別される。最近の研究により、各層に属するニューロンの運命は最終分裂直前に脳室部の環境から影響を受けて決定されることが示唆されているが、脳室内に存在するどのような因子が大脳皮質ニューロンの分化に影響を与えているのか、現在のところ全く明かにされていない。 本研究では背腹軸などの分化に関与することが報告されているTransforming growth factor β(TGF-β)ファミリーに着目して,発生期の大脳皮質でTGF-βファミリーに属する分子が皮質ニューロンの分化に貢献する可能性を調べることを目的としてこれらの因子の探索を行った。 TGF-βファミリーに保存されたC末端領域の塩基配列をもとに、E18(皮質細胞が分裂している時期)のラットの大脳mRNAからRT-PCR法を用いてファミリーに属する分子の検索を行なった。その結果約120bpに相当するPCR産物が得られた。そのDNA断片を大腸菌に組み込んで塩基配列を調べると、少なくとも3種類のDNA断片が得られ,それぞれBMP-5,BMP-6、BMP-7の当該領域と同一であることがわかった。 以上の結果から、発生期の大脳皮質にはTGF-βファミリーに属する分子、BMP-5、BMP-6、BMP-7が発現していることが示された。また、BMP-5,BMP-6、BMP-7がBMPファミリーの中でも特に高い相同性を持ち、背腹軸形成の分化因子として働いているBMP-2、BMP-4、dpp、dorsalin等とは異なったサブファミリーを形成していることから、これらの分子群が大脳皮質等の中枢神経系でのニューロンの分化が何らかの役割を果たしているものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamamoto,N.,Yamada,K.,Kurotani,T.,Higashi,S.,Sugihara,H.& Toyama,K.: "Formation of lamina-specific cortical afferent connections studied in organotypic cocultures" Biomed.Res.Suppl.1. 119-121 (1994)
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[Publications] 山本亘彦: "培養系を用いた皮質神経回路の形成機構の解析" 実験医学. 12. 2474-2479 (1994)