1994 Fiscal Year Annual Research Report
地域生態系保全のための休耕田の人工湿地としての利用
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06271106
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川西 琢也 金沢大学, 工学部, 助手 (80234087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 任重 静岡県農業試験場, 主任研究員
川島 博之 農林水産省, 農業環境技術研究所, 主任研究官 (30161318)
林 良茂 金沢大学, 工学部, 教授 (60019750)
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Keywords | 環境保全 / 生態系 / 生態工学 / 物質収支 / 生物相の変遷 / 物質循環 / 窒素 / 炭素 |
Research Abstract |
我々は休耕田を人工湿地として管理することにより,生物の棲息の場の確保,環境水中の窒素の除去など,環境保全に利用できるのではないかと考え、石川県金沢市の休耕田で実験を続けている。本年度は年間を通しての生物相変化と,炭素・窒素の物質収支について以下のような知見を得た。 1)植生:4月の段階で植物は少なく,水面はほぼ全面露出していたが、5月から次第に様々な植物が生えはじめ,9月にはガマ,セリ,ミゾソバが優先し,この3種で湿地全体の約9割を覆う様になった。9月の段階での湿地全体(120m^2)でのバイオマス風乾重量,炭素・窒素量はそれぞれ58.3,22.6,0.75kgであった。 2)小動物:植生がさほど多くなく水面が露出していた6月頃まではカエル、イモリ、タニシ、トンボ、ガムシ、タイコウチ、アメンボ、カゲロウ、などが観察され、単位面積あたりの個体数も、周囲の水田や水を張らずに放置した休耕田にくらべて著しく多くなっていた。その後植物の繁茂に従い動物の観察数は減少した。 3)物質収支:硝酸態窒素については地表水,地下への浸透水ともに流入水にくらべ小さくなり除去効果が認められたが、有機態で流出する窒素が無視できない程度にあった。窒素浸透量に占める有機態窒素は96%であった。5月から9月までの植物の成長の著しい期間における全窒素の除去量は,誤差が大きいがで約8gm^<-2>と算出された。この期間の植物への吸収量は約5gm^<-2>であるから,かなりの部分が植物による吸収であると考えられる。炭素に関しては流入分より流出合計が大きく,かなりの量の炭素がこの湿地から地下へ浸透していることを示唆する結果が得られている。また,ここでは地下へ浸透した炭素の3割が有機態で,残りは無機態であった。 今後生物相変化,物質収支解析を継続し,地域への正負のインパクト評価を行う。
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[Publications] 川西琢也: "稲わらを利用した脱窒法" ケミカルエンジニアリング. 39. 473-476 (1994)
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[Publications] 川西琢也: "蒸気透過法によるアルコールの濃度プロセスのモデル化" ケミカルエンジニアリング. 39. 717-720 (1994)
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[Publications] 川西琢也: "土壌浸透水中窒素の稲わらを利用した除去法について" 月刊「水」. (印刷中). (1995)
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[Publications] 戸田任重: "潅漑用溜池における硝酸態窒素の消失" 日本土壌肥料学雑誌. 65. 266-276 (1994)
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[Publications] Toda,H.: "Measurement of methane and nitrous oxide emissions from the peatlands in northern Quebec." Polar Biology. 7. 237-242 (1994)