1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06271261
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
矢崎 仁也 日本大学, 農獣医学部, 教授 (60059045)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂入 道夫 日本大学, 農獣医学部, 講師 (80196906)
長谷川 功 日本大学, 農獣医学部, 助教授 (40218441)
|
Keywords | 重金属汚染 / 重金属過剰ストレス / 重金属耐性 / カドミウム / 銅 / 重金属結合タンパク / メタロチオネイン / カリフラワー |
Research Abstract |
有害な重金属に対する耐性植物を育成する目的で、酵母が保有する重金属結合タンパク質であるメタロチオネイン合成遺伝子(CUP1)をBinary vector pBI121CaMV35Spromoterの下流域に組込みA.tumefaciensLBA4404へ導入し、これを用いてLeaf Disk法によりタバコ、シロイヌナズナ及びカリフラワーへ導入した。前年(平成5年)度は主にタバコ及びシロイヌナズナについて報告したが、本年(平成6年)度はカリフラワーについて検討した。 まず、カリフラワーへのT-DNAの導入頻度及び固体再生頻度を検討し、効率的な形質転換法を確立した。得られた組換え体について、重金属耐性を選抜する一次選抜法として我々が開発したLeaf disk法によりCd,Cu,Zn耐性を検討した結果、重金属耐性を示す組換え体がいくつか得られた。それらの中でPCR法でCUP1遺伝子が存在することを認め、しかもNorthern hybridizationによりm-RNAへの転写を確認したクローンを得た。遺伝子導入が確認された組換えカリフラワーから個体を再生させ、その内、数株は採種を目的として土耕法で栽培し、現在、花雷ができており開花も始まっているが、草姿や花雷は非組換え体と何ら遜色なく正常に生育している。 一方、水耕法で組換えカリフラワーと非組換えカリフラワーを栽培し、水耕液にカドミウム(Cd)を添加して重金属処理したところ、非組換え体はCd25μMまでは生育するが、Cd50μM以上になると枯死してしまうのに対し、組換え体はCd400μM以上でも下葉が多少落ちる程度で殆ど枯れることなく十数倍以上の高いCd耐性を示した。この両植物について体内Cd含有率を測定したところ、組換え体は明らかにCdが上位葉へも転流しており、その体内濃度が高いことが認められた。そこで、これらの体内に存在する可溶性タンパク質をゲルろ過法で分画したところ、組換え体にのみ存在する画分が得られた。また、同様な実験手法でCuに対する耐性脳を検討したところ、カリフラワー自体が本来的にCuに対して高い耐性を有していることが明かとなった。 今後は、このタンパク画分のアミノ酸配列を解析し、酵母MTのそれとの相同性を検討すると共に、カリフラワーのCuに対する耐性機構を解析し、その耐性遺伝子の分離同定を行う。
|