1994 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子・環境交互作用の分析によるパーキンソン病の易罹病性の解明
Project/Area Number |
06272201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 喜代太郎 北海道大学, 医学部, 教授 (80018366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 邦雄 北海道大学, 医学部, 教授 (90002154)
志渡 晃一 北海道大学, 医学部, 助手 (20206098)
羽田 明 北海道大学, 医学部, 助教授 (00244541)
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Keywords | パーキンソン病 / 危険要因 / ライフスタイル / 遺伝的素因 / 遺伝子環境相関 |
Research Abstract |
[研究目的] MPTPによる実験モデルの導入以来、パーキンソン病の中脳黒質ニューロンの早発死の機序が分析され1)環境性または内因性の神経毒、2)感受性遺伝子、3)加令の3要因群が複雑に交絡する過程であると推定されている。一方、これまでの研究により、本症は多くの遺伝子と多くの環境因子が関与する多因子性疾患であることが示されている。 本研究では、これらの諸点に配慮しながら、本症の家族集積性の分析とライフスタイル評価の分野からの知見を整え、つぎの目的を達成する1)日本における遺伝機構(米国で得られた多因子仮説の再検討)と遺伝率の推定、2)本症に罹患しやすいライフスタイルの検出、とくに食生活、運動、精神社会活動など、3)食事中の微量物質の本症誘発効果など、他分野のからの仮説の疫学的検証、4)できれば本症の予防・悪化阻止に役立つ知見の獲得。 [ライフスタイルなどの危険要因の分析] 患者(65才まで、発病後5年未満、痴呆など合併異常なし)95名と年令・性を合わせた同数の正常者を1:2に適合させ、ケースコントロール法で約100項目の危険要因を評価し、第2成長期の栄養摂取に過少があるなど、多くの特徴が判明した。多重のロジスティック法で要因が複合した場合の危険率を求め、リスクが飛躍的に増すことが示された。 [遺伝的素因] つぎの状況はパーキンソン病の成立が多因子性であることをつよく示唆する:1)家族集積性の統計的特徴、2)遺伝率約60%、3)ライフスタイルとの交絡、4)Cytochrome P450(Hha I多型)などとの相関、5)画像研究によって発病にはるかに先立って基底核の機能低下がみられる。 本研究は北大と愛媛大が協力し、本症と相関するライフスタイルと分子レベルの変異を同時に評価し、それらをひとつの系として分析し、両者の種々の組合せの「複合危険率」を多重ロジスティック法で求める。これまで北大の44例について分析し、1)ApoEは2型が少なく、4型が多い。2)CYP2D6(BamH多型)は7.9型が少なく6.0型が多い傾向をともに認めているが有意ではない。
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