1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06273101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮田 隆 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20022692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石和 貞男 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017205)
植田 信太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20143357)
宝来 聰 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助教授 (40126157)
五條堀 孝 国立遺伝学研究所, 遺伝情報研究センター, 教授 (50162136)
長谷川 政美 統計数理研究所, 予測制御研究系, 教授 (60011657)
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Keywords | 分子進化 / 形態進化 / 多様性 / 系統樹 / 絶滅生物のDNA / 真核生物の起源 / ウイルスの進化 |
Research Abstract |
本重点研究では昨年度に引き続き、形態進化と分子進化の接点、過去に生存した生物のDNAの単離と系統進化、太古の生物の進化と真核生物の起源、及びその他の領域研究として、ウイルスの分子進化学的アプローチの確立、並びに分子系統樹推定法をはじめとして、種々の遺伝子解析法の開発・改良、の4つの項目を重点的に研究する組織を組み、分子進化学の新しい展開を試みた。平成8年度の本重点領域研究は、総括班(7名)、1計画班(9名)及び公募研究(25名)から構成されている。計画班の班員は分子進化学を専門とする研究者であるが、公募研究では、動物学、植物学、分子生物学からの参加者がかなり含まれている。このようなヘテロな研究グループの間で、連携を密にし、研究の交流を促進するために、研究集会を企画した。平成9年1月に、計画研究及び公募研究に参加するすべての研究者が一同に会して、これまでの成果を発表し、顕著な研究成果を上げたグループについては、公開シンポジウム「分子から見た生物の進化」で、その成果を発表した。さらに、それらを研究成果報告書として、一般に公開する。絶滅した生物からのDNAの単離に関しては、一部問題の困難さのため、十分な成果は未だ得られていないが、全体としては、予想以上の成果が上げられている。さらに、将来の発展を期して、助手及び大学院生を主体とする若手の研究集会を平成9年3月に開催し、現在の研究成果と将来の展望に関して活発な討論がなされた。また、本重点領域研究の成果は学会を通じて広く公開された。すなわち、平成8年8月、日本分子生物学会において、「生物の多様性:分子進化と形態進化」、平成8年10月、日本遺伝学会において、「分子系統進化学の新しい視点」と題するシンポジウムをそれぞれ企画し、他分野との交流に寄与した。さらに、複数の班員による分子進化学の平易な解説書「基礎分子進化学」、「ネオ生物学シリーズ・ゲノム情報を読む」を出版し(いずれも印刷中)、成果の公表と普及に努めた。本重点領域研究は本年度が最終年度であるが、3年間を通じて、これまでほとんど面識が無かった研究グループが、互いに知り合うことで、重要な生物材料の交換が促進されたばかりでなく、共同研究の計画まで持つグループまで現れた。また、形態進化と分子進化の接点という大きな共通のテーマでまとまることが出来たことは、本重点領域研究の発展の上で有意義であった。総合的に判断して、当初予定していた以上の成果が得られた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Iwabe,N.et al.: "Evolution of gene families and relationship with organismal evolution." Mol.Biol.Evol.13. 483-493 (1996)
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[Publications] Nikoh,N.et al.: "An estimate of divergence time of Parazoa and Eumetazoa and that of Cephalochordata and Vertebrata by aldolase and triose phosphate isomerase clocks." J.Mol.Evol.(in press) (1997)
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[Publications] Kamaishi,T.et al.: "Protein phylogeny of EF-lalpha suggests microsporidians are extremely ancient eukaryotes." J.Mol.Evol.42. 257-263 (1996)
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[Publications] Horai,S.et al.: "mtDNA polymorphism in East Asian populations, with special reference to the peopling of Japan." Am.J.Hum.Genet.59. 579-590 (1996)
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[Publications] Sumiyama,K.et al.: "Class III POU genes : generation of homopolymeric amino aced repeats under GC pressure in mammals." J.Mol.Evol.43. 170-178 (1996)
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[Publications] Endo,T.et al.: "Large-scale search for genes on which positive selection may operate." Mol.Biol.Evol.13. 685-690 (1996)
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[Publications] 宮田隆: "眼が語る生物の進化" 岩波書店, 119 (1996)
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[Publications] 長谷川政美: "分子系統学" 岩波書店, 257 (1996)