1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06280203
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
真木 寿治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (20199649)
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Keywords | 分子生物学 / DNA複製 / DNAポリメラーゼ / ミューテーター |
Research Abstract |
本研究の目的は、DNAポリメラーゼによる複製エラーの種類と発生頻度ならびに塩基配列特異性を明らかにし、細胞が持つ自然突然変異を抑制する機能の分子機構を解明することである。本年度は、試験管内DNA複製系を用いた生化学的解析に焦点をしぼって研究を行ない、以下の結果を得た。 1.大腸菌染色体複製開始領域oriCを含むプラスミドDNAを鋳型として、精製した複製タンパク質による試験管内ローリングサークル型DNA複製系を構築した。この系を利用して、大腸菌のrpsL遺伝子を標的遺伝子としてDNA複製に起因する突然変異の解析を行なった。鋳型DNA中に最初から存在するrpsL変異の頻度は3.8×10^<-6>であるのに対し、複製産物中の変異頻度は1.0×10^<-4>に上昇しており、このin vitro系を用いた詳細な解析結果から、検出された突然変異はin vitroでの複製反応に起因することが明らかにされた。 2.in vitroDNA複製系で独立に生じた多数のrpsL変異の解析から、複製エラーに起因する変異は1塩基フレームシフトが最も多く、全体の62%を占めることが判明した。塩基置換変異は全体の25%であり、2塩基のフレームシフトの発生も観察された。様々な証拠から、in vitro系で発生した塩基置換は鋳型DNAおよび基質ヌクレオチド中のグアニン残基が酸化されて生じる8-oxo-グアニンによるミスペアが原因であると結論された。一方、1塩基フレームシフトはdA/dT残基が4〜6個続く配列中でdAあるいはdTが1個付加するものが最も高頻度に発生し、その頻度はストレッチの長さに依存していた。様々な証拠から、今回用いたDNAポリメラーゼである大腸菌DNA pol IIIはdTストレッチを鋳型とする時にdATPの濃度に依存して鋳型上をスリップすることが示唆された(dTストレッチスリップモデル)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Pascale Belgu、se-Valladier: "Effect of Single DNA lesion on in vitro replication with DNA prlymerase III holoenzyme:Couwparison with other polymerases." J.Mol.Biol.236. 151-164 (1994)
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[Publications] Takayasu Itoh: "Roles of transcription and repair in alkylation mutagenesis." Mutation Res.314. 273-285 (1994)