1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞のトランスフォーメーションと発がんにおける内在性AP-1の機能解析
Project/Area Number |
06280207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60111449)
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Keywords | 転写制御因子 / AP-1 / トランスフォーメーション / 発癌遺伝子 / 遺伝子導入 / レトロウィルスベクター / トランスドミナント変異体 / ニワトリ胚 |
Research Abstract |
本研究では、Fos/Lunのトランスドミナント変異体の発現により、トランスフォーメーション活性じ抑制される発癌遺伝子群の検索を行ない、次にこのような発癌遺伝子のトランスフォーメーションには内在性AP-1の活性化の機構を調べる。また、これらのトランスドミナント変異体をウイルスベクターで、ニワトリ胚の局所に導入し、これらの個体が上述の様な発癌遺伝子による腫瘍形成に対しても耐性を獲得したか否かについても検定する。 1.CEFに発癌ウイルスを感染後、種々のFosまたはJunのトランスドミナント変異株をコードする異なったサブグループに属するウイルスを2重感染法で導入し、トランスフォーメーションの抑制効果を形態観察と、軟寒天中でのコロニー形成活性で検定し、抑制活性の有無で多くの発癌遺伝子を2分する。v-src、v-ves、v-fps、c-Ha-ras、活性rafの抑制が示されたが、mvc、rosトランスフォーメーションは抑制されなかった。特に抑制力の強いトランスドミナント変異株を検索し、その作用機作を推定し、さらに強力なものをデザインして抑制力の検定をくりかえす。 2.v-src,c-Ha-ras、活性raf感染細胞内では、実際にAP-1活性が高まっており、それは、c-JunとFra-2の発現量の増大とFra-2の高レベルリン酸化に由来することが示された。 3.ニワトリ初期胚の肢芽に濃縮ウイルスをマイクロインジェクション法で導入する基本技術を確立した。またウイルス感染を高感度で組織化学染色で検出する為に、ヒト胎盤のアルカリ性フォスファターゼを発現するベクターを作製して感染細胞を鋭敏に検出しながら、感染の効果的な方法(時期、領域、ウイルス濃度)を検討中であり、後肢芽領域をほぼ全感染する方法論が確立しつつある。
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[Publications] Suzuki,T: "Analysis of AP-1 function in cellular trausformation pathuays" Journal of Virology. 68. 3527-3535 (1994)
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[Publications] Foletta,V.C.: "Cloning and characterization of the mouse fra-2 gene." Oncogene. 9. 3305-3311 (1994)
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[Publications] Sonobe,M.H.: "fra-2 promoter can respond to serum-stimulation througl AP-1 complexes" Oncogene. (印刷中). (1995)
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[Publications] 伊庭英夫: "細胞のトランスフォーメーションにおけるAP-1の機能" 実験医学. 12. 822-828 (1994)
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[Publications] 伊庭英夫: "fosファミリー遺伝子とjunファミリー遺伝子" 医学のあゆみ. 171. 364-367 (1994)
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[Publications] 伊庭英夫: "転写因子活性の酸化還元反応による制御" 最新医学. 49. 2253-2259 (1994)
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[Publications] 伊庭英夫: "細胞のトランスフォーメーションにおけるAP-1の機能" Jpn.J.Electroph.38. 361-365 (1994)