1995 Fiscal Year Annual Research Report
細胞のトランスフォーメーションと発がんにおける内在性AP-1の機能解析
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06280207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 客員教授 (60111449)
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Keywords | 転写制御因子 / AP-1 / トランスフォーメーション / 発癌遺伝子 / 遺伝子導入 / レトロウィルスベクター / トランスドミナント変異体 / ニワトリ胚 |
Research Abstract |
種々の癌遺伝子(v-src、v-fps、 v-yes、 c-Ha-ras, 活性化raf等)でトランスフォームした細胞では、内在性AP-1の活性化がおこっており、これがトランスフォーメーションに必須であることを平成6年度までに示してきた。本研究では、このAP-1活性化に伴い検出されるFra-2タンパク質の発現量の増大とFra-2の高度リン酸化に注目し、これを担う分子機構の解明を行った。fra-2プロモーターの解析から、v-srcによりトランスフォームした細胞内で見られるfra-2の発現量の増大は、プロモーター中にある2つのAP-1結合配列と1つのCRE様配列を介しておこること、またF9細胞系とexpression vector系をもちいた解析から非リン酸化型Fra-2/c-Junのダイマーは転写活性化能が低いことが判明した。これらの結果を統合し「Fra-2はリン酸化を受け、転写の負の制御因子から正の制御因子へと変換され自己制御により、その発現量を増大する。」との作業仮説をたて、それの検証をすすめている。これまでに、Fra-2キナーゼにはMAPキナーゼが含まれていることが判明した。また個体レベルでのAP-1機能の解析の為にニワトリ初期胚の任意の時期に任意の限局された領域に外来遺伝子をレトロウィルスベクターにより異所発現させる系を開発した。そして肢芽の発生過程での軟骨分化にv-fosが阻害的に働らいて長骨が短縮していることがわかった。このような長骨では増殖軟骨細胞の、成熟・肥大化軟骨細胞への移行が著しく低下して石灰化が、阻害されていることが判明した。このような著しい長骨の短縮は、c-fosではおきていないので、今後v-fosとc-fosの機能上の差異について研究を進めたい。
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[Publications] Sonobe,M.H.: "fra-2 promoter can respond to serum-stimulation through AP-1 complex." Oncogene. 10. 689-696 (1995)
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[Publications] Yokouchi,Y.: "Misecpression of Hoxa-13 induces cartilage homeotic transformation and changes cell adheciveness in chicken buds." Genes & Development. 9. 2509-2522 (1995)
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[Publications] 伊庭英夫: "概論-転写制御因子はどのように制御されるか。" 実験医学. 13-6. 126-129 (1995)
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[Publications] 伊庭英夫: "BZip構造をもつ蛋白質" 実験医学. 13-6. 130-136 (1995)
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[Publications] 伊庭英夫: "ニワトリレトロウィルスベクターを用いた遺伝子導入法" 分子医科学実験プロトコール. 細胞工学特集号. 171-175 (1995)