1994 Fiscal Year Annual Research Report
relがん遺伝子産物の活性制御機構及び生理機能の解析
Project/Area Number |
06280208
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 純一郎 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70176428)
|
Keywords | relがん遺伝子 / シグナル伝達 / 転写因子 / 分子生物学 |
Research Abstract |
研究課題を達成するため、提唱した四つの目的各々に対して以下に記す成果を挙げた。 1.TNF-α受容体からRel/IκB複合体へ至るシグナルの解析。 Rel蛋白質の活性化には制御因子IκB蛋白質のシグナルに依存した急速な分解による不活化が必要である。TNF受容体由来シグナルの最終段階であるIκBの分解を分子レベルで解明するため、IκB蛋白質中に存在する分解に必須な領域を同定した。その結果、IκB分子中央に存在するアンキリンリピート構造を欠失させると外来シグナル存在下でも安定であることが明らかとなった。 2.Bcl-3による癌化機構の解析 IκBのファミリーであるBcl-3蛋白質がRb(retinoblastoma)遺伝子のプロモーターを活性化することを明らかにし、その標的エレメントがE4TFI結合配列であることを示した。また筋芽細胞の筋管細胞へ分化に必須であるRbの発現上昇にBcl-3が関与していることを示す結果を得た。 3.アフリカツメガエルの胚発生におけるrel関連遺伝子の機能。 PCRによりアフリカツメガエルのrelB及びlyt10遺伝子cDNAを単離し構造決定を行った。それぞれの産物に対する抗体の作成に成功し現在、胚発生の各段階における発現を検討している。 4.B細胞分化におけるRel蛋白質の機能 CD40からのシグナルはB細胞受容体からのシグナルによって誘導される細胞死を抑制する。我々は、細胞死を制御するCD40シグナルを解析し、このシグナルによってRelが活性化されること及びbcl-x遺伝子の発現誘導が起こることを見い出した。現在、CD40の変異体を用いてRelの活性化及びbcl-x遺伝子の発現誘導がCD40のどの領域によって担われているか、そしてどのように細胞死の抑制に寄与しているのかを検討している。 今後上記の1-4をさらに進めることにより、本転写因子の活性化機構と細胞分化における役割を解明する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Hirai,H.: "Tax protein of human T cell leukemia virus type 1(HTLV-1)binds to the ankyrin motifs of IκB and induces nuclear translocation of NFκB protein for transcriptional activation" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 91. 3584-3588 (1994)
-
[Publications] Ohtsuka,M.: "Novel zinc chelators which inhibit the binding of HIV-EP1(HIV enhancer binding protein)to NFκB recognition sequences." J.Med.Chem.37. 4267-4269 (1994)
-
[Publications] Shiio,Y.: "Epitope tagging" Meth.Enzymol.(in press). (1995)