1994 Fiscal Year Annual Research Report
rasがん遺伝子産物の関与するシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
06280218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 徹 神戸大学, 医学部, 教授 (40144472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅谷 研一 神戸大学, 医学部, 助手 (40263371)
片岡 有里子 神戸大学, 医学部, 助手 (50233739)
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Keywords | rasがん遺伝子 / GTP結合蛋白質 / rafがん遺伝子 / アデニル酸シクラーゼ / 出芽酵母 / 線虫 / ゲルゾリン / アクチン結合蛋白質 |
Research Abstract |
1.Ras蛋白質のエフェクターであるヒトRaf-1およびB-Raf、出芽酵母アデニル酸シクラーゼ、分裂酵母Byr2と、GTP結合型Ras蛋白質との直接的結合を証明し結合の解離定数(Kd)を求めたところ、いずれも0.1〜30nMの範囲であることがわかった。上記4つのエフェクターは、すべてRasに競合的に結合した。また、各エフェクターのRas蛋白質結合部位をマップすることに成功した。 2.Raf、アデニル酸シクラーゼ、Byr2のRas蛋白質結合部位の間でアミノ酸配列の相同性が見られないので、各エフェクター分子の間でRas蛋白質上の結合認識配列が異なる可能性を考えた。実際、エフェクター結合領域付近にアミノ酸置換変異をもつ約50種類のヒトH-Ras変異体と各エフェクター分子との結合を測定することにより、それが証明された。その結果、各エフェクターを識別して結合するRas変異体が複数得られた。この変異体は細胞内における各エフェクターの機能を識別して解析するのに有用である。 3.我々が線虫C.elegansにおいて発見していた出芽酵母アデニル酸シクラーゼのRas結合部位に相同性を持ち、活性部位がアクチン鎖切断蛋白質に類似している蛋白質Ce-Achについて、Ras蛋白質との直接的結合(Kd=11nM)、アクチンとのin vivo,in vitroでの結合を証明した。ゲノム遺伝子の構造が、我々が提唱してきた「進化の過程でのRas結合ドメイン転位仮説」を支持していることに気付いた。この蛋白質の生体内での機能解析のため、Ce-Ach染色体遺伝子をトランスポゾン挿入により破壊した線虫変異体をPCRによりスクリーニングし、有力な候補者をすでに得ている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Minato et al.,: "Quantitative analysis of mutually competitive binding of human Raf-1 and yeast adenylyl cyclase to Ras proteins." J.Biol.Chem.269. 20845-20851 (1994)
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[Publications] T.Masuda et al.,: "Protein kinase Byr2 is a target of Ras1 in the fission yeast Schizosaccharomyces pombe." J.Biol.Chem.270. 1979-1982 (1995)
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[Publications] Y.Yamawaki-Kataoka et al.,: "A novel candidate of Ras-target protein in Caenorhabditis elegans with homology to the actin-severing protein family." Mol.Cell.Biol.,. 15(発表予定). (1995)