1994 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲンゲルを用いた浸潤現象のin vitro再構成系の開発
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06281229
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉田 利通 三重大学, 医学部, 講師 (80166959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂倉 照よ 三重大学, 医学部, 教授 (80073120)
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Keywords | 乳癌 / コラーゲンゲル培養 / 癌巣 / 癌浸潤 / 細胞外マトリックス蛋白 |
Research Abstract |
GR系マウスの乳癌から樹立された2H6とGLMT1株をGRの背部皮下に移植すると、2H6は平板状の腫瘤を形成し、GLMT1は膨張性に発育し、皮下に大型の球状の腫瘍を形成した。これらの細胞を0.1%のコラーゲンゲルでサンドイッチにして培養し、コロニーを形成させた。コロニーの形はGLMT1では厚みのある円形の集塊を形成し、2H6では星状の平板な集塊を形成した。切片によって観察すると、GLMT1はゲル内でレンズ状の集塊であったが、2H6では単層もしくは数層からなる薄い集塊であった。いずれの集塊も初期ではゲルによって周囲を囲まれ限局しており、in vitroにおける疑似的癌巣形成と考えられる。免疫組織化学染色では、GLMT1では少量のECM蛋白の沈着を見るのみであったが、2H6ではゲルおよび細胞に高濃度の沈着が見られた。ビデオ顕微鏡法により観察すると、GLMT1は細胞の運動は見られなかった。2H6では集塊内の細胞は運動しており、周辺へ運動によって広がり、集塊の形を経時的に変えた。ヒト血漿FN、ヒトメラノーマ由来TNを添加したが、集塊の形に変化は起こさなかった。これらの結果から、癌細胞の産生するECM蛋白はコラーゲンゲルという支持体の中で癌細胞が運動するために不可欠であり、かつ癌細胞自体での産生が重要であると考えられる。新生児マウス皮膚より単離した線維芽細胞を上記癌細胞との共培養を行うと、GLMT1、2H6ともゲル内で網目状の幅の狭いゲル内全体に広がった集塊を形成した。免疫組織化学では、両細胞の培養でFN、TNの集塊周囲ゲル内への沈着を認めた。間質細胞は、共培養することによりECM蛋白を産生し、癌細胞の進展に協調的に働いている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshida,T.: "Tenascin in breast cancer development-Is epithelial tenascin a marker for poor prognosis." Cancer Letter. (in press). (1995)
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[Publications] Vaidya,P.: "Combined analysis of expression of c-erbB-2,Ki-67 antigen and tenascin povides a better prognostic indicator of carcinoma of the papilla of Vater." Pancreas. (in press). (1995)