1994 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポエチン受容体の情報伝達機構と細胞増殖およびがん化との関連
Project/Area Number |
06281251
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90182815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原口 みさ子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10244229)
住澤 知之 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90206582)
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Keywords | エリスロポエチン / 誘導遺伝子 / SH2ドメイン / プロモーター / 増殖抑制 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
我々はエリスロポエチン受容体が点突然変異(R129C)やフレンド赤白血病ウイルスによってリガンド非依存性に活性化され、マウスに赤白血病を起こすことを示した。したがってエリスロポエチン受容体はサイトカイン受容体の関与する白血病発生の格好のモデルとなると考えられる。また我々はエリスロポエチン受容体の細胞内ドメインはリガンドに依存した2量体化によって活性化され、ここに増殖および分化のシグナル発生に必要十分な機構が備わっていることを明らかにした。エリスロポエチン受容体からのシグナルによって誘導される遺伝子は細胞増殖や赤芽球分化を調節する重要な働きがあると考えられる。そこで我々はサブトラクション法を用いて、まずエリスロポエチン受容体によって誘導される遺伝子を複数クローニングした。今回SH2ドメインを有する新規遺伝子CIS(cytokine-inducible-SH2protein)を発見しその機能解析を行った。CISは未分化な骨髄系細胞においてIL2、IL3、GM-CSF、エリスロポエチンなど各種因子によって極く短時間に誘導された。誘導の分子機構を解析するためにプロモーター領域約1キロベースをクローニングしレポーター遺伝子に融合させた。このレポーター遺伝子はエリスロポエチンなどで強力に誘導された。今後転写活性化に必要なシスエレメントを同定し、そこに作用する転写因子を明らかにする。さらにCISのシグナル伝達における役割を解析するためCIS遺伝子をステロイドで誘導可能なプロモーターに融合し血液株細胞に導入した。この結果エリスロポエチンやIL3による増殖作用の抑制がみられ、かつCISが活性化されたEPO受容体やIL3受容体に会合することが明らかとなった。今後CISを経由するシグナル伝達経路を明らかにし、またトランスジェニックマウスなどで生理機能を明らかにしたい。
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[Publications] Yoshimura,A.: "Second subunit of Epo receptor?" Nature. 372. 137-138 (1994)
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[Publications] Ohashi,H.: "Ligand-induced activation of chimeric receptors between the erythropoietin receptor and receptor tyrosine kinases." Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91. 158-162 (1994)
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[Publications] Maruyama,K.: "Proliferation and erythroid differentiation through the cytoplasmic domain of the erythropoietin receptor." J.Biol.Chem.269. 5976-5980 (1994)