1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎児性癌細胞の分化誘導におけるN-myc遺伝子の機能と発現調節
Project/Area Number |
06281258
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小田 鈞一郎 東京理科大学, 基礎工学部・生物工学科, 教授 (40012736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 琢磨 東京理科大学, 基礎工学部・生物工学科, 助手 (90256678)
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Keywords | 胎児性癌細胞 / 細胞分化 / N-myc遺伝子 / サイクリンA遺伝子 / 転写制御 / 転写因子E2F / 転写因子ATF / E2F結合タンパク質 |
Research Abstract |
ヒト胎児性癌細胞の分化誘導初期にN-myc遺伝子の転写レベルが約1/(10)に一過性に減少し、続いてサイクリンA遺伝子の転写が抑制される。N-myc遺伝子の転写抑制はプロモーター領域に存在するE2Fモチーフに一過性に複合体が形成されなくなるためと分った。E2F転写因子は多くのメンバーより構成されヘテロダイマーとして働くことから、本年度は大腸菌で発現するλZAPIIをベクターとして分化誘導NEC14細胞より調製したcDNAライブラリィより、^<32>P標識E2F-1をプローブとして、それに結合するタンパク質のcDNAを単離、解析した。 クローンE2F-BP1はN末端部を若干欠くものの388アミノ酸をコードし、その239〜279アミノ酸領域にHLHモチーフを持ち、このモチーフを介してE2F-1に結合することが分った。HLHモチーフ内のアミノ酸配列はE2FファミリーよりむしろMycファミリーのMxi1、Madと類似している。そのN末端側はE2F、Mycファミリーのメンバーとは大きく異なり塩基性アミノ酸領域を欠いている。C末端部では酸性アミノ酸領域、pRB結合モチーフを欠くことからE2Fのメンバーとは異なる新しいタイプのE2F結合タンパク質であることが分った。 E2F-BP1自身にはDNA結合能はないが、E2F-1、DP1とヘテロダイマーを形成しこれら因子のE2Fモチーフ、TTTGGCGCGへの結合を促進する。またE2Fモチーフを持つN-mycプロモーター、アデノウイルスE2プロモーターをそれぞれ付加したCAT遺伝子の転写を促進することが分った。NEC14細胞内ではE2F-1、DP1以外のメンバーともヘテロダイマーを形成すると推定される。 今後はE2F-BP1と結合するE2Fファミリーのメンバーを単離し、分化誘導NEC14細胞におけるN-mycプロモーターの活性調節作用を解析する予定である。
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[Publications] T.Nakamuraほか5名: "Down-regulation of the cyclin A promoter in differentiating human EC Cello io mediated by depletion of ATF-land ATF-2 in the complex" Exp.Cell Res.216. (1995)
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[Publications] T.Nakajimaほか5名: "Adenoirus EIA-induced apoptosio elicits a steepdeoease in the topoisomerase IIα leucl during the latent phase." Oneogene. 10. (1995)
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[Publications] M.Shimizuほか: "The GHS boundary specific-enhancer of the rat cdc2 promoter" Mol.Cell.Biol.(1995)
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[Publications] 小田鈞一郎: "実験医学12月号“細胞分化抑制因子、Id"" 羊土社, 3 (1994)
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[Publications] 小田鈞一郎: "遺伝子工学実験法“動物細胞系・発現ベクター系の概説" 中外医学社, 12 (1994)