1994 Fiscal Year Annual Research Report
正常p53遺伝子導入による骨肉腫細胞の放射線高感受性化の分子機構
Project/Area Number |
06282232
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮越 順二 京都大学, 医学部, 講師 (70121572)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 真寛 京都大学, 医学部, 助教授 (70173218)
|
Keywords | p53導入 / p53発現 / 放射線感受性 / 放射線増感 / 骨肉腫細胞SAOS-2 |
Research Abstract |
ヒト由来骨肉腫細胞の(SAOS-2)のp53cDNAを組み込んだ発現プラスミド(pMSVneop53)をトランスフェクションし、G418にて選択し、比較的増殖の遅い40個のクローンを選んだ。これらのクローンからRNAおよびタンパクを抽出し、p53遺伝子の発現について、ノーザンおよびウエスタンブロットを用いて検索し、その結果、正常p53遺伝子が導入されたクローン(SAOS-MC11)およびp53のmRNAレベルでの発現はみられるがタンパク産生を行っていないクローン(SAOS-MC10)が得られた。p53遺伝子導入株(SAOS-MC11)と親株(SAOS-2)およびベクター導入株(SAOS-MSV)の放射線感受性を比較した場合、正常p53遺伝子導入株は親株やベクター導入株に比べ著しく放射線に感受性となった。また、SAOS-MC10細胞については有意な放射線感受性の変化は認められなかった。指数的増殖期における細胞周期分布を調べたところ、細胞株間における有意な差は見られなかった。次に、5Gy照射後20時間におけるDNAヒストグラムの結果、G2ブロックは共に見られたが、SAOS-MC11細胞も含めて放射線照射後の明確なG1ブロックが欠けていた。放射線照射後、SAOS-MC11細胞におけるp53遺伝子発現について、mRNAおよびタンパクレベルで検討した。その結果、mRNAおよびタンパク量共に線量依存的に増大した。本研究によって、p53遺伝子を欠失しているがん細胞に正常なp53遺伝子を導入することにより放射線感受性が高められることが示された。このことはp53タンパクが細胞の放射線感受性を支配している内因性因子の1つであることを示唆している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] BokshiI Shung: "X-ray-induced transcriptional activation of c-myc and XRCC1 genes in ataxia telangiectasia cells." Mutation Research. 307. 43-51 (1994)
-
[Publications] Junji Miyakoshi: "A new disigned experimental system for exposure of mammalian cells to extremely low frequency magnetic fields." Journal of Radiation Research. 35. 26-34 (1994)
-
[Publications] Chikako Nishigori: "Mutations in ras genes in cells cultured from muose skin tumors induced by ultraviolet irradiation." Proceeding of the National Academy of Sciences U.S.A.91. 7189-7193 (1994)