1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06282269
|
Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
小幡 裕一 愛知県がんセンター, 免疫学部, 室長 (30177290)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 修 愛知県がんセンター, 病理学第二部, 室長 (00142167)
|
Keywords | マウスTL抗原遺伝子 / 遺伝子導入マウス / 白血病 / γδT細胞 / 胸腺細胞 / 腸上皮細胞 / c-myc遺伝子 / Notch-1遺伝子 |
Research Abstract |
マウスTL抗原は、MHCクラスI分子であるが、その発現は正常胸腺T細胞、腸上皮細胞および白血病細胞に限られる。TL遺伝子導入マウスの1系統は、大量のTL抗原を胸腺に発現し、T細胞分化のλδ経路への変更、胸腺の発育異常を起こす。さらに高頻度でλδT細胞型白血病を発症する。本研究の目的は、TL遺伝子導入マウスの解析を中心に、TL抗原がT細胞分化および癌化に関与していることを明らかにし、白血病の発症機序ならびに正常T細胞の分化機構を解明することである。本年度は以下の結果が得られた。 1.白血病発症におけるTL抗原発現の意義:新たに確立したTL遺伝子導入マウスの検索を開始した。1系統で胸腺T細胞分化が、白血病を発症する遺伝子導入マウスと同じように、γδ経路へ偏向することを観察した。このことから、白血病発生の最初のステップであるT細胞分化異常が、導入TL遺伝子の発現に起因することが証明された。 2.白血病発生に関与する遺伝的要因:TL遺伝子導入マウスに発生する白血病には、TL抗原の発現に加えて、複数の遺伝的要因の関与が考えられる。発症前の胸腺ならびに発生した白血病の遺伝子異常を検索した。その結果、c-mycとbcl-2の発現増大が発症前の胸腺で既に起きていることが観察され、これらが癌化の初期要因と考えられた。発生した白血病では、pim-1の発現増大、内在性レトロウイルスの新たな染色体への挿入、さらにNotch-1遺伝子の再構成と発現増大が観察され、これらが癌化の後期要因と考えられた。Notch-1遺伝子の再構成には、マウスレトロポゾンIAPが関与していることを示す結果も得られた。 3.ヒトTL様抗原:TL抗原は胸腺に発現していないマウス系においても腸に発現しており、機能を発現する本来の細胞は腸上皮であると推定される。ヒト小腸もしくは大腸特異的に発現するMHCクラスI遺伝子の単離を目的とし、ヒト小腸のcDNAライブラリーを作成し、検索を開始した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 0bata,Y.: "The structure,function and evolution of mouse TL genes,nonclassical class genes of the major histocompatibility complex." Proc.Natl.Acad.Sci.,USA.,. 91. 6589-6593 (1994)
-
[Publications] Morita,A.: "TL antigen as a transplantation antigen recognized by TL-restricted cytotoxic T cells." J.Exp.Med.,. 179. 777-784 (1994)
-
[Publications] Obata,Y.: "TL genes in Asian wild mice.The evolutionary conserved nonclassical class I genes of major histocompatibility complex." Genetics in wild mice. 159-177 (1994)
-
[Publications] 小幡裕一: "生体防御における非古典的MHCクラスI分子の機能" 蛋白質核酸酵素増刊号「エボリューション」. 39. 2626-2637 (1994)
-
[Publications] 小幡裕一: "TL遺伝子トランスジェニックマウス" Molecular Medicine 臨時増刊号「マニュアル疾患モデルマウス」. 232-239 (1994)