1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06283205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 光昭 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80012607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (70282522)
鈴木 健之 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30262075)
平井 洋 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10202277)
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Keywords | 細胞周期 / 細胞周期阻害因子 / 成人T細胞白血病 / 転写因子 / 遺伝子発現 / ウイルス発がん / HTLV-1 / 転写活性化 |
Research Abstract |
HTLV-1はヒトに感染し、成人T細胞白血病や神経症、熱帯性痙性麻痺症の原因となるレトロウイルスである。この病原性の分子機構を解明する目的で、HTLV-1による細胞の異常増殖誘導機構について引き続き解析した。 昨年度まで、HTLV-1の制御因子Taxが細胞の転写因子に結合することによって遺伝子発現の活性化あるいは不活性化を行うことを明らかにし、これらの転写制御の破壊が白血病発症に関わり合う可能性を指摘した。さらに、Taxが細胞周期の抑制因子p16に結合し、その抑制活性を阻害する結果Cdk4キナーゼを活性化し、細胞周期を促進することを見出した。Taxのこの機能は、より直接的に細胞の異常増殖につながることから注目されている。 今年度は、p16が形成するINKファミリーに対するTaxの効果を検討した。INKファミリーは、p15,p16,p18及びp19より構成され、これらは全てTaxの結合ドメインとされるアンキリンモチーフを持ち、Cdk4/6キナーゼ活性を抑制し、細胞周期をG1期に停止させる。Taxはp16に対すると同様にp15にも結合し、その抑制活性を阻害した。しかし、Taxはp18とp19には結合せず、それらの抑制活性も阻害しなかった。ところが、Taxはp18遺伝子の発現を転写レベルで抑制し、p18の産生抑制を介して、p18による細胞周期の停止作用を解除することを見出した。従って、HTLV-1のTaxはINKファミリーによる細胞周期の抑制を、蛋白レベルと遺伝子レベルでの全く異なる機構により破壊し、結果として細胞周期の促進をもたらすことが示された。これらの転写抑制の分子機構、ATL発症における役割については現在解析中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Suzuki,T: "HTLV-1 Tax protein interacts with cyclin-dependent kinase inhibitor p16^<INKGA> and counteracts its inhibitory activity towards CDK4" The EMBO J.15. 1607-1614 (1996)
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[Publications] Yamagata,T: "A novel interferon regulatory factor family transcription factor,ICSAT/Pip/LSIRF,that negatively regulates the activity of interferon-regulated genes" Mol.Cell.Biol.16. 1283-1294 (1996)
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[Publications] Saito,M: "Mutation rates in LTR Of HTLV-1 in HAM/TSP patients and the carriers are similarly high to Tax/Rex-coding sequence" J.Neuro Virol.2. 330-335 (1996)
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[Publications] Yoshida,M: "Molecular biology of HTLV-1:Recent progress" Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology. 13. S63-S68 (1996)
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[Publications] Yoshida,M: "Molecular biology of HTLV-1:Dereguration of host cell gene expression and cell cycle" Leukemia. (in press). (1996)
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[Publications] Yoshida,M: "Multiple targets of HTLV-1 for dysregulation of host cells" Seminars in Virology. 7. 349-360 (1996)
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[Publications] Yoshida,M: "Human c-type oncoviruses and T cell leukemia/lymphoma In “Microbes and Malignancy:Infection as a cause of cancer"" (in press), (1996)