1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06283211
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 理学部, 教授 (70116375)
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Keywords | シグナル伝達 / 増殖制御 / TGF-β スーパーファミリー |
Research Abstract |
MAPキナーゼ(MAPK)活性化カスケードは、酵母から動物細胞にまで至る多くのシグナル伝達系において利用されている。このMAPKカスケードは、3つの異なるプロテインキナーゼにより制御されている。すなわち、MAPKはMAPKキナーゼ(MAPKK)によるスレオニンとチロシン残基のリン酸化を受けて活性化され、さらにMAPKKはMAPKKキナーゼ(MAPKKK)によりリン酸化により活性化される。我々は、酵母のMAPKシグナル伝達系を用いて、動物細胞のMAPKKKであるRafが、酵母の中でMAPKKKとして機能し、その結果MAPKカスケードを活性化する系を構築した。そこで酵母の系を用いて、マウス血球系細胞株BAF-BO3由来のcDNAライブラリーから、酵母の中でMAPKKKとして機能する新規の遺伝子TAK1(TGF-β Activated Kinase)を分離した。TAK1はプロテインキナーゼをコードし、その触媒領域はRaf、MEKKの触媒領域と30%のアミノ酸が同一である。TGF-βの刺激により発現が誘導されるPAI-1(Plasminogen activatorinhibitor type 1)の発現系において、活性型TAK1が構成的にPAI-1の発現を引き起こし、またDominant negative TAK1がTGF-βによるPAI-1の発現を抑制すること、さらにTAK1のキナーゼ活性が、TGF-β及びBMP刺激により上昇することが明かとなった。これらの結果から、TAK1はTGF-βの下流で機能するMAPKKKであると考えられる。
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