1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06283211
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70116375)
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Keywords | TGF-β / シグナル伝達 / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
細胞の癌化は、細胞の増殖や分化を制御するシグナル伝達の調節が異常になることにより起こると考えられ、実際に細胞性癌遺伝子の多くはこうしたシグナル伝達系を構成する一員となっている。動物細胞において、癌遺伝子RASは受容体型チロシンキナーゼの下流で、MAPKKKであるRAFを活性化し、MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)-MAPキナーゼの活性化カスケードを介して、細胞の増殖・分化および癌化を制御している。このようなMAPキナーゼ活性化カスケードは、酵母、線虫、ショウジョウバエから動物細胞にまで至る多くのシグナル伝達系において利用されている。TGF-βスーパーファミリーは、高等真実核生物の増殖、発生及び分化において重要な役割を果たしている。しかしなが、TGF-βによる細胞内シグナル伝達経路が、どのような因子により制御されているかは全く不明であった。昨年度、我々は酵母のMAPキナーゼシグナル伝達系を用いて、動物細胞における新規MAPキナーゼキナーゼキナーゼ(MAPKKK)、TAK1、を分離し、TAK1キナーゼがTGF-β-スーパーファミリーシグナル伝達経路を制御するMAPKKKであることを明らかにした。今年度は、TAK1の周囲で働く因子を同定する目的で、酵母のTwo-Hybridスクリーニング法でTAK1と結合する因子、TAB1、TAB2を分離し、解析を行った。その結果、TAB1がTAK1の活性化因子として、TGF-βシグナル伝達経路で働くことが明らかとなった。TGF-bシグナル伝達系は、癌化と関連していることから、TGF-βシグナル伝達機構の解析は、細胞の癌化の機構解明に大きく寄与することが期待される。
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