1996 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインのシグナル伝達機構と標的遺伝子群の解析
Project/Area Number |
06283217
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 維紹 東京大学, 医学部, 教授 (50133616)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 忠昭 東京大学, 医学部, 助手 (60272431)
瀧 伸介 東京大学, 医学部, 講師 (50262027)
|
Keywords | IRF-1 / p53 / 癌抑制因子 / CDK抑制因子p21 / lysyl oxidase / IL-2シグナル伝達 / p40^<tax-1> / bcl-2 |
Research Abstract |
癌抑制因子IRF-1の機能解析から、IRF-1欠損胎児線維芽細胞(EF)ではp53欠損EFと同様にDNA損傷時の細胞周期の停止が認められず、CDK抑制因子(CDK inhibitor,CKI)p21(WAF1/CIP1)の発現がIRF-1欠損EF及びp53欠損EFで低下していることを見出した。更に、p21プロモーターの活性化にはIRF-1とp53が協調的に働くことを明らかにした。同時に、IRF-1によって誘導される標的遺伝子の検索を試みた結果、lysyl oxidase遺伝子がIRF-1依存性に発現していることlysyl oxidase遺伝子が癌抑制的に働くことを明らかにし、IRF-1の癌抑制機構の一端を明らかにした。一方で、HTLV-Iウイルスのp40tax-1の細胞増殖誘導への関与をIL-2シグナル伝達経路に重要なシグナル伝達分子との関係を検討した結果、p40tax-1自身が、lckおよびc-myc遺伝子と協調的に働くことにより細胞増殖を誘導するbcl-2と同様あるいは類似した機能を有していることが示唆された。この結果から、成人T細胞白血病の発症メカニズムとして、p40tax-1がT細胞のIL-2非依存的増殖を誘導していることが示唆された。更に、IL-2のbcl-2遺伝子の転写誘導に至るシグナル伝達経路はJak3キナーゼを介するシグナル伝達経路とは独立していることを示し、新たにBcl-2結合タンパクであり、apoptosis阻害作用を有するBAG-1の遺伝子がJak3キナーゼを介するシグナル伝達経路とは独立にIL-2刺激により誘導されることを明らかにした。同時に、IL-2Rγ鎖の各種変異体の解析の結果、IL-2刺激によるJak1キナーゼの活性化はJak3キナーゼの活性化を必要とせず、Jak3キナーゼ活性化のシグナル伝達経路とは独立して誘導されることが示唆された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Adachi,M.他: "Interleukin-2 (IL-2) upregulates BAG-1 gene expression through serine-rich region within IL-2 receptor βc chain." Blood. 88. 4118-4123 (1996)
-
[Publications] Miyazaki,T.他: "Selective cooperation of HTLV-1-encoded p40^<tax-1> with cellular oncoproteins in the induction of hematopoietic cell proliferation." Oncogene. 12. 2403-2408 (1996)
-
[Publications] Miyazaki,T.他: "Coupling of the IL2 receptor complex with non-receptor protein tvrosine kinases." Cancer Surveys. 27. 25-40 (1996)
-
[Publications] Tan,R.S-P.他: "Identification of the lysyl oxidase gene as a target of the antioncogenic transcription factor,IRL-1,and its possible role in tumor suppression." Cancer Res.56. 2417-2421 (1996)
-
[Publications] Tanaka,N.他: "Cooperation of the tumor suppressors IRF-1 and p53 in response to DNA damage." Nature. 382. 816-818 (1996)