1994 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス抑制遺伝子bcl-2トランスジェニックマウスを利用した発がん機構の解析
Project/Area Number |
06283220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻本 賀英 大阪大学, 医学部, 教授 (70132735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 真司 大阪大学, 医学部, 助手 (20243214)
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Keywords | アポトーシス / 細胞死 / bcl-2遺伝子 / ICE遺伝子 / リンパ腫 |
Research Abstract |
ヒトリンパ腫に見られる染色体転座t(14;18)の解析から同定したbcl-2がん遺伝子は細胞増殖には顕著な関与を示さず細胞死を抑制するというユニークな機能を有する。このがん遺伝子の発見は、細胞死の抑制が発がん過程において重要なステップであるという新しい概念をがん研究の分野に提示した。その後複数のがん関連遺伝子が細胞死と係わる機能を持つことが示され、細胞死はがん研究においても重要なテーマとなった。 本研究は発がんに係わる細胞死抑制の分子機構を解明すると同時に、bcl-2活性化を伴うリンパ腫の発生とより高い悪性度の獲得の分子機構を明らかにすることを目的としている。 リンパ腫発生に係わる遺伝子群の解析のために、BまたはT細胞でbcl-2を過剰発現するトランスジェニックマウスを用い、新生児にモロニ-白血病ウイルスを染色させ悪性リンパ腫発生に必要な遺伝子群に分子タグを付ける実験系を利用した。ウイルス感染により悪性リンパ腫発生が促進されB/bcl-2マウスではB,Tリンパ腫が、またT/bcl-2マウスでは未熟なT細胞リンパ腫が発生した。複数のリンパ腫においてc-myc遺伝子の関与が確認され、ヒトの瀘胞性リンパ腫の高悪性度獲得プロセス解析の実験モデル系に成りうることを示した。 細胞死抑制の分子機構の解明に向け、bcl-2の生化学的機能の割り出しと細胞死実行遺伝子群の解析を行なってきた。bcl-2の生化学的機能としては、抗酸化経路での機能が最も有力なモデルであるが、無酸素下で誘導される細胞死をbcl-2が効率よく抑制することとその系に活性酸素が関与しないことを実証することでbcl-2/抗酸化経路での機能のモデルを否定することが出来た。また細胞死実行遺伝子としてced3/ICE遺伝子が最近注目されているが、ICE類似遺伝子を複数単離することに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Dubois-Dauphin,M.,: "Neonatal motoneurons overexpressing the bcl-2 protooncogene in transgenic mice are protected from axotomy-induced cell death." Proc.Natl.Acad.Sci.USA.91. 3309-3313 (1994)
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[Publications] Ikegaki,M.,: "High levels of the bcl-2 expression in small cell lung carcinoma cells." Cancer Res.54. 6-8 (1994)
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[Publications] Akao,Y.,: "Multiple subcellular localization of bcl-2:Detection in nuclear outer membrane.endoplasmic reticulum membrane and mitochondrial membranes." Cancer Res.54. 2468-2471 (1994)
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[Publications] Yamada T,: "The human T-cell leukemia virus type 1 tax protein induces apoptosis which is blocked by the bcl-2 protein." J.Virol.68. 3374-3379 (1994)
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[Publications] Fujii,Y.,: "Bcl-2 expression in the thymus and periphery." Cell.Immunol.155. 335-344 (1994)
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[Publications] Otsuki,Y.,: "Cyclic bcl-2 gene expression in human uterine endometrium during menstrual cycle." Lancet,. 343. 28-29 (1994)