1995 Fiscal Year Annual Research Report
Fasを介したアポトーシスの分子機構とその生理作用
Project/Area Number |
06283229
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長田 重一 大阪大学, 医学部, 教授 (70114428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 貴司 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第一研究部, 副部長 (70250090)
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Keywords | アポトーシス / Fas / Fasリガンド / 自己免疫疾患 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Fasリガンドはその受容体Fasに結合して細胞死、アポトーシスを誘導する。種々の代謝阻害剤を用いた実験から、このアポトーシスにはインターロイキン1β転換酵素(ICE)と呼ばれるシスティンプロテアーゼの関与が示された。またFasを活性化した細胞より抽出液を調製し、増殖している細胞から調製した核と反応させた。その結果、Fasによる活性化30分後から、その細胞質中にアポトーシスに特異的な核の形態変化、染色体DNAの切断などを誘導する活性の蓄積を見いだされた。このことは、細胞レベルでのアポトーシスを無細胞系で再現できたことを示している。一方、Fasを介したアポトーシスの生理作用を探る目的でgenetargeting法を用いてFas遺伝子を完全に欠失したマウスを樹立した。このマウスは、週令とともにリンパ節、脾臓が腫大化し、14週令では、それぞれ正常マウスの100〜200倍、10〜20倍にまで達した。蓄積される細胞は、CD4^-、CD8^-のT-細胞であり、本来、活性化されたTーリンパ球が発現すべきFasリガンドを大量に構成的に発現していた。以上の結果は、Fasシステムは活性化されたTーリンパ球を死滅させ、免疫反応をdwn-regulationさせる作用を持つことを示している。Fasを欠失したマウスではこの系に欠陥があり、活性化された異常Tーリンパ球が蓄積したものと考えられる。ところでFasリガンドはタイプII膜タンパク質であり、Fas/Fasリガンドを介したアポトーシスは細胞と細胞の相互作用によって決定されると考えられる。ところが、ヒトリンパ球をフォルボールエステル/イオノマイシンで活性化すると、その膜表面ばかりでなく、培養上清にも顕著なFasリガント活性が見い出された。実際、抗ヒトFasリガンド抗体を用いたWesternBlotting法により膜結合型(Mr.40kDa)より小さいタンパク質(Mr.26kDa)が認められた。さらに、分泌性サイトカインG-CSFの分泌シグナルをFasリガンドの細胞外領域の直前に結合したハイブリッド遺伝子をCOS細胞で発現されることにより、機能をもつ可溶型Fasリガンドの大量調製に成功した。
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[Publications] Enari,M.et al.: "Involvement of ICE-like protease in Fas-mediated apoptosis." Nature. 375. 78-81 (1995)
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[Publications] Nagata,S.et al.: "The Fas death factor." Science. 267. 1449-1456 (1995)
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[Publications] Tanaka,M.et al.: "Expression of the functional soluble form of human Fas ligand in activated lymphocytes." EMBO J.14. 1129-1135 (1995)
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[Publications] Adachi,M.et al.: "Targeted mutation in the Fas gene causes hyperplasia in the peripheral lymphoid organs liver." Nature Genet.11. 294-299 (1995)
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[Publications] Enari,M.et al.: "Apoptosis by a cytosolic extract from Fas-activated cells." EMBO J.14. 5201-5208 (1995)
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[Publications] Tanaka,M.et al.: "Fas ligand in human serum." Nature Med.(in press). (1995)