1994 Fiscal Year Annual Research Report
接着分子による白血球がん細胞を内皮細胞間相互作用とその分子機構
Project/Area Number |
06283233
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 昌之 大阪大学, 医学部, 教授 (50064613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 稔之 大阪大学, 医学部, 助手 (30217054)
後藤 満一 大阪大学, 医学部, 助教授 (50162160)
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Keywords | 転移 / 接着分子 / 内皮細胞 |
Research Abstract |
本研究では、がんの血行性転移に重要な癌細胞-内皮細胞間相互作用を接着分子の立場からその分子機構を明らかにすることを試みている。そして、転移のプロセスを大きく癌細胞の内皮細胞への接着、および内皮細胞間隙の通り抜け(transmigration)に分けて、本年度はこの各々について解析をすすめた。まずtransmigrationには、癌細胞、内皮細胞両者の特定のシグナル伝達経路が関与していることが明らかになってきた。興味深いのは、セリン・スレオニンホスファターゼであるカルシニューリンに依存性のシグナル伝達経路が重要であることである。これについてはさらに解析をすすめる予定である。また、これとは別の解析から、癌細胞の接着を抑制することなしにtransmigrationのみを抑制できることが明らかになった。このことは癌転移に対抗するために興味深い知見である。現在、癌転移に関与する接着分子としてCD44が注目されている。CD44はヒアルロン酸に対するレセプターとして知られる糖蛋白質である。われわれは、CD44の新しいリガンドとして特異なプロテオグリカンであるセルグリシンを発見した。この物質は、通常は細胞内顆粒に存在するが刺激とともに細胞外へ放出される。癌転移への関与について追求をすすめる予定である。最後に、CD44分子の構造的改変により、転移性腫瘍特異的に細胞死が誘導できるかについて検討をすすめている。現在、キメラ分子の作製に成功したところである。
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[Publications] N.Toyama-Sorimachi: "Serglycin is a novel CD44 ligand involved in lymphocyte adherence and ctiveation" Journal of Biological Chemistry. (in press).
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[Publications] N.Toyama-Sorimchi: "A sulfated proteoglycan as a novel ligand for CD44." Journal of Dermatology.21. 795-801 (1994)
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[Publications] 都築 忍: "内皮細胞へのリンパ球の接着と相互作用" 血管と内皮. 4. 7-12 (1994)
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[Publications] 宮坂昌之(監修): "接着分子ハンドブック" 秀潤社, 322 (1995)