1996 Fiscal Year Annual Research Report
文化財の保存修復に用いられた材料の効果に関する研究
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06301010
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
増田 勝彦 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 部長 (40099924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田良島 哲 文化庁, 文化財保護部, 調査官
佐野 千絵 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (40215885)
川野辺 渉 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 主任研究官 (00169749)
青木 繁夫 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 室長 (60088797)
宮本 長二郎 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, センター長 (60261252)
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Keywords | 文化財 / 合成樹脂 / 木造建造物 |
Research Abstract |
文化財の修復に用いられた合成樹脂などの伝統的修復材料以外の物質について、その使用例と目的、およびその経年変化の調査を行った。特に木造文化財建造物に関しては、文化庁建造物課などの協力によって、約1700件の文化財修理報告書に基づく調査を行うことができた。 その結果、合成樹脂を中心に140種類を超える材料が文化財修復に用いられていることが判明した。これらの材料の過半数は、その修理工事で一回限り用いられたものである。これは、その材料が伝統的材料に比べて施工性や物性の点で有利でなかったこと、あるいは、供給体制に問題があったのか、使用例の情報がこの分野において共有されなかったかなどが原因と考えられる。同時にこれらの材料が商品名あるいは通称で記載されていることも多くそのために該当する材料を現時点において特定できないものおよびすでにメーカーおよび販売会社が存在しないために試料を入手できないものも多かった。これらの材料の内、製造元や化学組成、物性などが明らかになったものについては、商標名、通称、化学組成、適切な使用目的、代替可能な材料名および調達先のデータベースを作成した。 また、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの汎用性の樹脂のいくつかについて、施工時の記述がはっきりしている事例を中心に劣化状況の調査を行ったところ、同一目的で同一の材料を用いた場合にもその効果には大きな隔たりが認められた。この原因は、使用箇所、周辺環境はかりではなく、施工時の技術、施工者の材料に対する理解や施工環境の影響もあると推測される。このような事例をもとにいくつかの代表的な樹脂を選び、施工上の注意、施工管理の要点、施工目的の明確化などに関するマニュアルを作成した。
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