1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06301012
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
辻 敬一郎 名古屋大学, 文学部, 教授 (20023591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 義信 愛知淑徳大学, 文学部, 教授 (00036675)
原 政敏 朝日大学, 法学部, 教授 (10093064)
林部 敬吉 静岡大学, 情報学部, 教授 (20023624)
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Keywords | 視空間 / 奥行情報検出 / 視空間構造 / 空間表象 / ガンツフェルト / 等質視野 / 刺激還元事態 / 視環境 |
Research Abstract |
1.本研究は,視覚還元事態であるガンツフェルト(GANZFELD:等質視野)における心理体験の発生・発達過程を解明しようというものである.すなわち,この原初的空間における「外界」と「自己」意識のダイナミズムに着目し,「空間以前」ともいうべき位相を解析するとともに,その特性を視空間知覚の諸現象と関連づけ検討することを目的とした. 2.前年度に引き続き,ガンツフェルトにおける印象の時間的変化を自由口述法によって追跡し,同時計測した瞳孔径の値との対応を求めた.その結果,(1)みえの明るさの変化の報告に500〜1500ms先行して瞳孔径の顕著な変化が起きること,(2)この種の比較的断続的な変化とともに,呈示開始からの時間経過にともなって瞳孔が漸進的に収縮する傾向が認められること,(3)外界と自己の境界が稀薄になり,見るという行為の主体性が失われたとされる状態では,瞳孔径の微細な変動が生じなくなること,(4)視野の明るさ(輝度)は,暗化に至る時間と逆の関係にあること,(5)これらの特性は,色光のうち赤に特異的にみとめられること,(6)印象報告の豊かさには個人差が著しいが,印象内容およびその時間的変化については一般性が高いこと,などが主要な所見として得られた. 3.前項の所見のうち,一部((3)・(5)・(6))は研究代表者による報告を確認したものであるが,所見(1)・(2)は本研究によって新たに得られたものである.これらの所見を総合しモデル化することによって,視空間の発生に多大の示唆が与えられるように思われるので,その作業を急ぎたい. 4.本研究で得られたガンツフェルト事態における印象の自由口述記録は,単に視覚心理学に限定されることなく,人格・病態心理学などとの関連においても,今後興味深い分析の素材となりうるものと考えられる.そのような理由から,その表現に加工を加えることなく保存することにした.この種の資料の関心をもつ研究者の利用に供したい.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 林部 敬吉: "心理学における3次元視研究" 酒井書店, 275 (1995)
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[Publications] 加藤 義信: "空間に生きる(第1章:空間認知研究の歴史と理論を執筆)" 新曜社, 284 (1995)